さて、このインタビューの段階ではまだ
完成まであと一歩、といったところではありますが、
いま仕上がっているニンテンドー3DS版を見て、
鈴木さんは生みの親として、
どんな手ごたえを感じていますか？

いちばん感じるのは、
隅々まで親切になった、ということですね。
地味な話ですけど、過去の『カルドセプト』では、
操作ガイドをつけたりとか、
普通の商品であれば当たり前だったことが
できていなかった点がありました。
そこが今回は、隅々までちゃんと
行き届いているというか、ものすごく親切になっていて、
つくり手として嬉しいです。

隙（すき）とおっしゃられていたところですね。

もちろんこれらは『カルドセプト』初心者の方を
意識したわかりやすさ、ではあります。
でも我々からすると、こういった要素で
これまで草の根で『カルドセプト』を
広めてきてくださった方々に対して
その手助けができることが、うれしいんです。

うん。そうですね。

「つまらなかったらお代はいらないよ」って
友人知人にソフトを渡して、
根気強く『カルドセプト』を
広めてくれた方々が実際にいます。
いままでの自分たちでは、
ゲームをおもしろくすることでしか、
そこに応えられなかったんです。
だから、今回のダウンロードプレイや
アドバイスカーソルは、
きっとそういった熱狂的なファンの方々こそが、
いちばん歓迎してくださる要素だと思うんです。

『カルドセプト』を知っている人が、
知らない人に勧めやすくなったということが、
すごく大きな手ごたえなんですね。

はい。とにかく思いつくことはぜんぶできた、
という実感はあります。
あ、もう１つだけ。
個人的に嬉しかったことがありました。

何ですか？

ダイスに“ダイス”、
手札の並びのところに“手札”って
ちゃんと書いてあるところです。
何てことはないんですけど、
大宮ソフトのタイトルで、
「ついにここまで気を配るところまできたか～」
という感慨深いものがありました。

（笑）

そういう言わずもがなの説明はいらないって
思っていたりもしていたんですけど、
「手札から１枚出して」って言うとき、
本当にはじめての人はどれが手札で、
どれがダイスかわからない方もいるわけなんですよね。
そういったところが
ちゃんとできたのがすごく嬉しいです。

はい。鈴木さんがこれほど語るわけですから、
長年応援していただいてきた方にこそ、
ふるって周りの人を、巻き込んでほしいですね。
そのためにありとあらゆることを、
ちゃんとしました、っていうことですから。
それでは最後に、
みなさんから伝えたいメッセージをお願いします。

我々がこういう場でお伝えしたいのは、
『カルドセプト』はもともと
気軽に楽しめるパーティゲームの
要素を備えている、ということなんです。
“戦略性と奥深さ”というと、
はじめての方はちょっと
手を出しにくいところがあると思うんですが、
実際には多くの方がゆる～く、気軽に、
『カルドセプト』を楽しんでいらっしゃいます。
たとえば将棋や麻雀のように、
名人やプロ、大人から子どもまで、
幅広い層の方が楽しめる
ポテンシャルを秘めていると思うんです。

それぞれのレベルで純粋に、
勝った負けたを楽しめるんですよね。
ときには自分より格上の相手に
会心の戦略が決まって勝つといった喜びも、
きっと大きいと思います。

そうですね。
それが運の要素であっても、
同じ喜びだと思うんです。
ひとつのゲームのフィールドの中で、
熟練者から初心者までそれぞれが
自分なりに楽しめるような形に、
ちょっと近づけたんじゃないかと思います。
勝った負けたで一喜一憂する、
その原点を『カルドセプト』で
体験してもらえたら、いちばんうれしいです。

それでは、武重さん。

これまでのファンの方、
この3DS版ではじめて『カルドセプト』に
興味を持たれた方の両方にお伝えしたいんですが、
今回こだわった遊びやすさというのは、
ルールが簡単になったとかではなくて、
初心者も上級者も関係なく、
遊びやすくなっているものなんです。
そこをぜひ、体験して、
実感してもらえるとうれしいです。

深みがなくなったわけではなくて、
深みはそのままに、何も知らない人でも、
ガイドが充実したり、画面がわかりやすくなったり、
そういうことで、遊びやすくなったんですよね。

そうですね、はい。

“わかりやすさ”という言葉が多く出ているので、
既存のファンの方の中には「ぬるくなったのか？」と
心配される方もいると思うんです。
でも、ぜんぜんそんなことはないです。
それはもう「ご安心ください！」と強く言いたいです。

はい。今回は本当に長く遊び込めますし、
既存ファンの方々も満足できる濃さと、
新規の方を意識した間口の広さという
この２つは一般的には両立しないものだと
思われていましたが、今日お話を伺って、
それが今回はうまくまとめられたように感じました。
とくに既存のファンの方には、
ぜひ決定版とでも呼べる量と質を
味わっていただきつつ、
機会があればぜひ、周りの方に
お勧めしていただけるとうれしいですね。
それでは今度こそ、最後のラストスパートですね。
あとわずかですが、よろしくお願いします。
今日はありがとうございました。

ありがとうございました。