武重
今回、初心者を意識した仕組みという意味では、
新しく取り入れた
アドバイスカーソルもあります。
カーソルで、そのときにプレイヤーがとれる
最適な行動をアドバイスしてくれる、便利機能なんです。
岩田
ルールを完全に把握しなくても
ゲームを進めることができるわけですね。
鈴木
開発的にはこれがまた、
プログラマー泣かせでした。
UI(ユーザーインターフェイス)も
複雑多岐にわたりますし、
あらゆる場面においても何らかの提案を
出さなければいけないので。
岩田
そうでしょうね。
あのゲームルールの中に
そういった機能を実現しようとすると、
相当しっかりしたUIを
つくらないと難しいはずです。
鈴木
でもこの機能のおかげで、
たとえば親戚の姪っ子さんなどにも
「このカーソルどおり操作すれば勝てるから」って
手放しで遊ばせられる、
とても心強いものになったと思います。
岩田
それで遊んでるうちに、
なぜ、その選択がいいのか、
どんな意味があるのかが、
次第にわかってくるわけですね。
鈴木
そうです。
実戦を重ねるほどに、
ルールを体で覚えられます。
齋藤
でも・・・“絶対”じゃないんです。
わたしも最初、カーソルに頼って
プレイしていたんですが、ある時期から
「カーソルは『このカードを使え』って出るけど、
こっちのほうがいいんじゃないか?」って、
疑問に思うときが、出てくるようになったんです。
岩田
あぁ、そのわかり方はおもしろいですね。
齋藤
カーソルはONとOFFの
切り替えができるんですけど、
わたしはわざと表示して遊んでいて、
カーソルの指示に反抗して
「いやいや、自分はこっちだよ」って、
逆を選んだりして・・・。
岩田
ははは(笑)。
鈴木
すごくユニークな、
ゲームに慣れていく過程ですよね。
つまり、手取り足取り教えられていた初心者が
「こっちのほうがよくない?」って言いだしたら、
「おめでとう、卒業だよ」ってことです(笑)。
齋藤
自分の成長が実感できる仕様です。
岩田
齋藤さんはもともと、
初心者を代表する人だったはずなんですが(笑)。
齋藤
そうなんですけど・・・(笑)。
いまはソロプレイをやり込んでいます。
岩田
初心者を卒業されたんですね。
齋藤
はい、そうなります(笑)。
『カルドセプト』というと、
対戦が大きくフィーチャーされがちなんですが、
今回は1人でコンピューター相手に戦うソロプレイも
嫌っていうほど、ボリュームがあります。
岩田
そんなにあるんですか?
鈴木
ネタバレになるのでくわしくは言えませんが、
ちょっとうんざりしてしまうくらいあります(笑)。
相当、やり込んでいただけるボリュームになっています。
岩田
鈴木さん、これまではわりと対戦のバランスや、
戦略性を引き出すことのほうに『カルドセプト』は
エネルギーをかけていた印象があったんですが、
今回、ソロプレイを充実させた意図は
どこにあるんですか?
鈴木
それは先ほどの、
DSの話題のときにお話しした
1人でじっくりと遊ぶような方を
意識しているところがあったからですね。
岩田
ネット上では見えにくいけど、
潜在的にはたくさんいるであろうお客さんに
着目されているということですか?
鈴木
そうです。
武重
あと、もちろん
ローカルプレイ(※16)にも力は入っています。
ルールをかなり自由に設定できるようになっていますし、
シリーズでははじめて同盟戦のルール改定を行って、
これまでよりもさらに協力プレイがおもしろくなっています。
岩田
インターネット対戦もあるけれど、
ローカルプレイも充実させている、
ということですね。
武重
はい。我々から情報発信すると、
「ネットを通じてたくさんの人と対戦できます!」
という具合にネット対戦が強調されがちなのですが、
実際は、ソロプレイでこつこつカードを集めたり、
大多数の方は、身近な知り合いと
ローカルプレイで楽しんでいると思うんです。
鈴木
すぐに集まって遊べる、
携帯ゲーム機の特性を活かすわけですね。
武重
もともと『カルドセプト』という遊びで、
ゲームとその周りの環境やサービスすべてを
まるごと提供したい、と考えていたんです。
今回はそういう意味でいろんな用意がそろっていて、
まさに決定版とも言えるものに
仕上がった実感があります。
岩田
1人で楽しみたい方から、
周りの人と楽しみたい方、
相手をみつけて楽しみたい方、巻き込みたい方、
インターネットで強力な腕自慢と向き合いたい方。
何でもござれというわけですね(笑)。
武重
はい、どんな遊び方も正解です。
岩田
そうなんですよね。
それはお客さんのほうで、
自由に選んでいただければ良いわけですから。
武重
余談ですけど、この間、任天堂の担当の方と
ネット対戦のテストを行ったんです。
その日の朝に「夕方対戦しましょう」って
連絡してから、夕方の対戦の時間までの半日間、
ずっとどんなデッキがいいか、考えていたんです。
その時間がまた、たまらなくおもしろくて。
岩田
対戦する前の準備をしているところから、
わくわくして楽しかったということですか?
武重
はい。そういうのもひっくるめて、
「これが遊びなんだなぁ」と実感しています。
齋藤
わかります。デッキを組むこと自体が、
自分を表現するみたいな意味があるんです。
だから、ヘタなものはみんなに見せられない(笑)。
「このコンセプトで組んだのをわかってほしい」とか。
「ほかの人がどんな組み方をしているのか」とか、
そこをいろいろ見るのも楽しいんです。
岩田
・・・ということを『カルドセプト』初心者だった
齋藤さんが申していますので、
「本当にすごいことになっているなあ」と思います(笑)。
一同
(笑)