アナザーストーリー

「紫の日記」にまつわるもう一つのストーリー

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  • プロローグ 放課後・旧会議室
  • 第一話 陰気な男
  • 第二話 顔の無い少年
  • 第三話 人形になった女
  • 第四話 呪文
  • 第五話 図書館の闇
  • エピローグ

WEBサイト限定 アナザーストーリーとは? 開発スタッフが書き下ろした、「紫の日記」に関わった人々の物語です。

放課後・旧会議室

『ねえ、聞いた?』 噂好きの依子(よりこ)がいつものように小声で話しかける。他に誰が聞き耳を立てているわけでもないのに。『はいはい、聞いたわよ。で、今度はなんの話?』適当に受け流しつつ、とりあえず話をあわせる。私もよほどの物好きだ。彼女の話をネタにして何か誌面を埋められないか…そんなことを考えている。

放課後。今にも降りだしそうな空模様のせいか、校内は静まり返っている。普段は使われていない、古い会議室。がらんとした室内に、長机が数脚。私たちは、部室とは名ばかりの旧校舎の空き部屋に押し込まれている。この「文化部」は、最近の部員減少の為廃部寸前だった4つの部が今年から統合されて生まれた、いわば寄り合い所帯。それでも部員は20人に満たず、さらにその半分は幽霊部員だ。「放送部」「新聞部」「文芸部」はともかく、なんで「オカルト研究会」が「文化」部に入ってしまったのか、それこそオカルトだ。だいたい「研究会」は「部」じゃないのに。「幽霊部員が多い」ことへのあてつけだろうか。なら洒落が効いてる。落語研究会も仲間に入れてあげればいいのに。

まあ、本当の理由はわかってる。顧問の先生の都合だ。放送部と、私の所属していた新聞部の顧問は元々同じ山本先生だし、文芸部の田中先生は、つい先日、産休に入られた。「文芸部顧問」というくらいだから、元々体は丈夫な方じゃない。しばらくは戻ってこないだろう。オカルト研究会は、顧問を担当されていた先生が体調を崩されて、今は教育実習の先生が顧問代理をしていると聞いたけど、その先生も先週から家庭の事情で学校に来ていない。『だから、あの呪いの噂だって…』

「オカルト研究会」だけあって、相次ぐ顧問の交代に「呪い」なんて言葉を絡めて噂をするのが、今のところの依子の部活動らしい。『来たんだって。先輩の所に…。』「先輩」とは、件の教育実習生、長谷部先生のことだ。この学校の卒業生だということで、親しい生徒からはそう呼ばれている。『… なに?』『紫の…日記』 第一話へ続く

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