1. 「寝っ転がってレベルアップ」
岩田
ベータテスト(※1)開始当初、
Wii U本体のエラーコードが出る問題で、
スクウェア・エニックスさんや、
このベータテストを楽しみにしていただいていた
お客様にご不便をおかけしてしまいまして
ご迷惑をおかけしました。
齊藤
いえ、とんでもない。
迅速にご対応いただきまして、
ありがとうございました。
岩田
今回は、対応状況の情報発信に課題があったと反省しています。
今後、障害を起こさないように最善を尽くすのはもちろんですが、
万が一、障害が起きてしまったら、
「すばやい対応を最優先とすることはもちろんとして、
対応状況について、積極的にお客様に届きやすいように発信する」
ということを、より徹底していきたいと思っています。
それでは、本題に入りましょうか。
今日はスクウェア・エニックスの
齊藤さん、藤澤さんにお越しいただきました。
Wii版に続いて、今回Wii U版を
展開するにあたってのお話と、
現在のサービスの状況など
いろいろお訊きできたらと思っています。
先日、開始されたベータテストは
どんな様子ですか?
齊藤
登録された方のアカウントを見てみると、
これまでWii版で遊ばれていた方と
今回はじめてWii U版で遊ばれるという方が、
半々くらいの割合(※2)ですね。
岩田
するとはじめての方が
けっこう多くいらっしゃるんですか。
齊藤
そうですね、実際にはアカウントを変えて
2キャラ目という方もいらっしゃるので
まったく数字どおりというわけではないのですが、
それでも割合はかなり多いと思います。
開発チームで“初期村”と呼んでいる、
最初にアストルティア(※3)の世界で訪れる村々に
すごく活気があって、にぎやかなんですよ。
岩田
はじめてオンラインの世界に入った方が
いろいろとはじめての体験をされて、
ワクワクされている感じが伝わってきそうですね。
齊藤
手ごたえはありますね。
僕も、Wii版でベータテストをしたときの
新鮮な気持ちを思い出しました。
岩田
一方で、Wii版を体験されたうえで
Wii U版ベータテストに
入ってこられた方の反応はどうですか?
齊藤
ネットの反応を見ていると
「すごく画がきれい!」という声が
やっぱりいちばん多いです。
岩田
みなさん第一声で、
そう言われるようですね。
藤澤
ずっと遊んできた方には、
かなり印象が変わって見えるみたいですね。
たくさん人がいるときのワラワラした状態も
欠けることなく描画されるので、
「こんなに人がいたんだ・・・」って
驚かれる方も多いです。
齊藤
あと、すぎやまこういち先生(※4)のBGMが
オーケストラになっているので、
そのあたりも新鮮に受けられているようですね。
岩田
エネルギーをかけてつくったところは、
もれなくお客さんに反応してもらえている感じですか?
齊藤
そうですね。最終的には口をそろえて
「これを体験したら、Wii版には戻れない」
って、みなさん言われます(笑)。
岩田
はい(笑)。
藤澤
たぶんそこは、Wii U GamePadだけで遊べることも
大きいんじゃないですか?
岩田
まさに、そうみたいですね。
わたしもここに来る前、
ベータテストに参加している社内の人間に感想を聞いてきたんですが
「Wii U GamePadを体験したら、もうもとに戻れない」
と言っていましたから。
ベータテストがはじまって日も浅いのに、
「こんなに長い時間遊んでいます」って
うれしそうに自慢するんですよ(笑)。
齊藤
ははは(笑)。
岩田
とくに家庭を持っておられる方に、
Wii U GamePadでのプレイが
歓迎されているみたいですね。
テレビを専有しなくても、長い時間遊べますから。
齊藤
わたしの同世代の友人も同じです。
Wiiはたいていリビングのテレビにつながっていて、
ひとりでずっとテレビを独占できないんですよ。
だから、Wii U GamePadの話をすると、
「それいいね~」って、必ず言われます。
岩田
そういう意味で、Wii Uは、
長時間つきあう遊びと、すごく相性がいいんですよね。
齊藤
今回のテレビCMに、
「寝っ転がってレベルアップ」という場面があるんですけど、
実際に遊ばれたみなさんは
強く実感されるんじゃないかと思います。
藤澤
すごくよくわかります(笑)。
齊藤
ネットの書き込みを見ていると、
中にはWii U GamePadをお風呂に持ち込んで
遊ぼうとした方もいたみたいですけど・・・。
藤澤
いや、それは壊れるから
やっちゃダメでしょう(笑)。
岩田
はい、お風呂での使用はやめていただきたいです。
公式にWii U GamePadの通信を保証しているのは
同じ部屋の中までなんですが、
建物の構造や、壁の材質によりますが、
壁一枚程度なら遊べる場合もあるようですね。
藤澤
ただ、ワンルームくらいだったら、
持ったままトイレには行けてしまいますね。
岩田
はい。生理現象による中断は、
オンラインゲームでの大きな課題でしたからね(笑)。
でも、本当にさまざまな方に
参加していただけたようで、なによりです。
Miiverse(ミーバース)(※5)のコミュニティも
活気がありますよね。
藤澤
実際にいまも、Miiverseで
どんな感想をいただけているかというところは
参考にさせてもらっています。
齊藤
『ドラゴンクエストX』のお客さんはそれこそ、
オンラインに関して積極的な方が多いので、
新しい試みには向いていると思いますね。
藤澤
ゲーム内ではいまも写真が撮れて、
それをゲーム内でプレイヤー同士が
交換できる機能を検討中なんですけど、
それを「ゲームの外でも簡単に見せ合うことが
できたらいいな」と思っているんです。
そういったことが、Miiverseや次のステップで
実現できたらおもしろくなりそうですね。
岩田
こういうゲームでは、
「ほかの人がこんなことをしてた」って、
見えるのがすごく大事だと思うんですよ。
それは、自分にとっての新たな発見や、
新たなモチベーションにつながるんですね。
ちょっと余談になりますけれど、
3DSに『いつの間に交換日記』(※6)というソフトが
あるんですが、そこでやりとりされているデータ量が、
『どうぶつの森』(※7)が出てから
グンと増えているんです。
藤澤
ああ、『どうぶつの森』で撮った
写真を交換しあってるんですね?
岩田
そうなんです。ああいったサービスですから、
お正月の時に、「あけおめ日記」のやりとりで
一般のメールと同じように、
一度、それまでの最大の利用件数を記録したんですけれど、
その後もどんどん利用が増え続けて、
いまでは、ほぼ毎日のように、その数字を超えているんです。
齊藤
へえ~。
藤澤
まさにうちの娘が、それをやっていますね。
毎日20通くらい送ってるみたいで、
「何をやっているんだろう」って、
ちょっと心配になるくらいですが(笑)。
岩田
『どうぶつの森』を持っている方の
『いつの間に交換日記』の利用頻度が、
格段に高いようなんですね。
だからそれを見ていると、
自分の個性を表現できるゲームと、
それを共有して広められるサービスは、
すごく相性がいいんじゃないかと思うんですよ。
『ドラゴンクエストX』も最近のアップデート(※8)で
より自由に個性を際立たせられる
コンテンツも増えてきましたので、
Wii Uの『ドラゴンクエストX』と
Miiverseも、そういう関係に
なれるチャンスがあるんじゃないかなぁと
個人的にちょっと思っています。