遠い遠い昔…… あらゆる生命はもちろん、大地や海さえも形成されていなかった頃、 混沌の地ハイラルに黄金の三大神が降臨した。 すなわち、力の女神ディン、知恵の女神ネール、勇気の女神フロルなり。 ネール……、その英知を大地に注ぎて、世界に法を与える。 フロル……、その豊かなる心により、法を守りし全てのいのちを創造せり。 三大神はその使命を終え、天へと帰っていった。その去りし後に、黄金の聖三角トライフォースを残して……。 この後、その聖三角トライフォースを世の理の礎とし、この地を聖地とするものなり。 (ハイラルに伝わる三大神の伝説より) |
ハイラル王国に広がる深き森。 その森を守り続けてきた大木を、人はデクの樹と呼んでいた……。 この森にはコキリ族という子どもたちが住んでいて、彼らはそれぞれ自分だけの妖精を持っていた。 だが、たったひとりだけ妖精を持っていない少年がいた。 少年の名はリンク……。 毎晩のように見る同じ夢……。 嵐の夜、リンクは見知らぬ城門の前に立っていた。 リンクの目の前を一頭の馬が駆け抜けていく。 手綱をひく何者かにかかえられた少女が、 うったえるような目でリンクを見ている。 その馬を追うように、別の馬が現れた。 黒い顔をした、大きな男が馬上からリンクを挑戦的に見おろす……。 夢は、いつもそこで覚めた……。 「リンク! ねえ、起きてよリンク! デクの樹サマがお呼びなのよ!リンク、起きなさい!」 目が覚めたリンクの目の前には、一匹の妖精がいた。 ナビィという名のその妖精は、森の守護神デクの樹の使いで来たという。 ナビィに導かれ、リンクはデクの樹のもとへ急いだ……。 |
「おぉ、ナビィ……戻ったか……。そしてリンク……よく来てくれた……。 お前は最近、毎日のように恐ろしい夢を見ているはずじゃ。 その夢は、今この世界に忍び寄る邪悪な気配そのもの……。お前は、それを感じたのじゃ。 リンクよ……、今、ここでお前の勇気をためさせてほしい。ワシは呪いにかかっておる。 お前の知恵と勇気でその呪いを解いてほしいのじゃ。その覚悟があるかな……?」 リンクは言われたとおり、デクの樹の体の中に入り、呪いを解いた。 再びデクの樹の前に立ったリンクに、大木が語りかける。 「よくやったリンク……。お前はワシの願いをたくすにふさわしい少年であった。 ワシに死の呪いをかけた者は黒き砂漠の民じゃ……。あの者は邪悪な魔力を操り、 ハイラルのどこかにあるという聖地を探し求めておった。 なぜなら聖地には、神の力を秘めた伝説の聖三角、トライフォースがあるからじゃ……。 トライフォースは、触れた者の心を写す世界を作る力を持っておる。 心正しき者が触れればハイラルは善き世界へと変わり、心悪しき者が触れれば、 世界は悪に支配されるのじゃ。あの黒き砂漠の民をトライフォースに触れさせてはならぬ! 悪しき心を持つあの者を聖地へ行かせてはならぬ! リンクよ……、ハイラルの城に行くがよい。城には神に選ばれし姫がおいでになるはずじゃ。 その姫にこの石を見せよ……。ワシの予言が正しければ、全てを理解されるであろう……。」 静かに命を引き取った。 「たのむぞ、リンク……。 お前の勇気を信じておる……。」 そう言い残して……。 |