もちろん、私は『METROID』だけを作ってきたわけではありません。
ほかにも色々なゲームに携わってまいりました。
実は北米でリリースされているタイトルで、私が関わり続けているものとしましては、
もう一つ『メイドインワリオ』(※8)シリーズがあります。
ただ、このシリーズは私のクリエイティブから生まれたものではなく、
少し距離を置いた形でプロデュースを行ってきました。
では、私がプロデューサーを務めた『メイドインワリオ』4タイトルをご紹介します。
※8
『メイドインワリオ』=シリーズ1作目。ゲームボーイアドバンス用ソフトとして2003年3月に発売された、瞬間アクションゲーム。
GBA『まわるメイドインワリオ』(※9)は、ジャイロセンサーの評価を
依頼されていた私のチームのエンジニアが、その仕組みを実験的に、
プチゲームのインターフェイスに応用したことがプロジェクト開始のきっかけです。
あまりにも良くできていましたので、プロトタイプをすぐに岩田に自慢しに行きました。
※9
『まわるメイドインワリオ』=ゲームボーイアドバンス用ソフトとして2004年10月に発売された瞬間アクションゲーム。カートリッジに回転(ジャイロ)センサーを搭載。シリーズ3作目。
本体を回すとアナログレコードが再生されるコンテンツを試すために、
椅子にゲームボーイアドバンスを置いてぐるぐる回していた岩田が一言、
「くだらねぇ・・・」とつぶやいたところからこのプロジェクトはスタートしました。
このタイトルで、私は初めて『メイドインワリオ』のプロデューサーを務めました。
『さわるメイドインワリオ』(※10)は、DSの同時発売ソフトとなりました。
そのせいで、『まわるメイドインワリオ』と開発期間が重なってしまい、
急遽、別のディレクターを立て、グループメンバー総動員で作り上げたタイトルです。
この影響でシリーズ経験者不在のプロジェクトになってしまったため、
『メイドインワリオ』独特の「トーン」や「おもしろみのツボ」というものの解釈が、
スタッフ間で不揃いな認識のままスタートしましたので、
新任のディレクターとともに、アイデアなどの取捨選択や方向性のコントロールを行いました。
※10
『さわるメイドインワリオ』=ニンテンドーDS用ソフトとして、2004年12月に発売された瞬間アクションゲーム。シリーズ4作目。
Wii『おどるメイドインワリオ』(※11)は、
Wiiリモコンのフラッグシップ的なタイトルを目指した
Wiiのロンチソフト(新しいゲーム機と同時に発売するソフト)です。
DSと同様に、ゲーム性とWiiリモコンとの親和性は高いのですが、
できることが多いのが逆に仇となり、
ゲームからの指示に瞬間的にプレイヤーが反応しづらいところに問題がありました。
この問題は、次に出てくるプチゲームのお題に対して、
必要な持ち方をあらかじめ指示する「お作法」という演出で解決しました。
遊んでいるプレイヤーの姿や振る舞いを、見ている人も一緒に面白がれることもまた、
据置機の『メイドインワリオ』の魅力の要素として重視しました。
※11
『おどるメイドインワリオ』=Wii用ソフトとして2006年12月に発売された瞬間アクションゲーム。シリーズ5作目。
4タイトル目は、DS『メイドイン俺』(※12)とそれと連動する、
Wiiウェア『あそぶメイドイン俺』(※13)です。
※12
『メイドイン俺』=2009年4月発売の、ニンテンドーDS用ソフト。『メイドインワリオ』シリーズに登場するプチゲームを、自分で作って遊ぶことができる。
※13
『あそぶメイドイン俺』=2009年4月に配信が開始されたWiiウェアの瞬間アクションゲーム。Wiiショッピングチャンネルからダウンロード購入して遊ぶことができる。
このソフトは『メイドインワリオ』のプチゲームを自分で作って楽しもうというゲームで、
シリーズのディレクターを務めてきたスタッフの、個性とアイデアから生まれたタイトルです。
このゲームの一番の魅力はなんといっても
「バカバカしさのセンスが問われる」というところです。
それを多くの人々と共有する仕組みがあることにより、さらにセンスが磨かれていきます。
ハイセンスなバカバカしさを身につけるには、まさにうってつけのツールと言えるでしょう。
私もこれで、『METROID』をテーマとしたプチゲームを作りました。
ちょっと見ていただこうと思います。
次にご紹介するのは、『トモダチコレクション』(※14)です。
日本では『トモコレ』と略されることが多いこのタイトルは、
「究極の内輪ウケ」がコンセプトです。
簡単にご説明しますと、Wiiでご存知のMiiをDSに住まわせて遊ぶ“おままごと”のような、
または“お人形遊び”のような“ごっこ遊び”を楽しむソフトです。
言葉ではわかりにくいと思いますので、後ほど動画を見ていただき、
もう少しお話をさせていただこうと思います。
ちなみにこの『トモコレ』は事前には誰も予想できなかった大ヒットとなり、
発売から1年を待たずしてセルスルー300万本超え目前
(※2010年3月現在、日本国内のみの販売)
という状況です。
※14
『トモダチコレクション』=2009年6月に、ニンテンドーDS用ソフトとして発売された、そっくりトモダチコミュニケーションゲーム。
さてここで、かなり異色なゲームを紹介させてください。
私がゲームシナリオを書くきっかけとなり、
自分のその後のゲーム制作の方向性とスタイルを決定付けることになったタイトルが、
この『ファミコン探偵倶楽部』シリーズ(※15)です。
北米では発売されなかった「ファミコンディスクシステム」というハード用のソフトです。
いわゆる「コマンド選択型テキストアドベンチャーゲーム」で、
ストーリーはホラー・サスペンスです。
この場で取り上げることには迷いがあったのですが、
私にとって重要なタイトルですので、あえてご紹介させていただきました。
※15
『ファミコン探偵倶楽部』=ファミコンディスクシステムなどで発売された、アドベンチャーゲームのシリーズ。1作目の『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』は1988年に、2作目の『うしろに立つ少女』は1989年に発売された。
私が携わってきたタイトルは、まだまだほかにあるのですが、
私がビデオゲームに関わり始めて間もない頃のタイトルを、
最後に一つ紹介しておきます。
NES『バルーンファイト』(※16)。
対戦プレイが熱い、ステージクリア型ゲームです。
私のビデオゲーム制作におけるデビュー第2弾なんですが、
このゲームのプログラマーは、なんと岩田聡です。
当時をイメージできるようなビジュアルを・・・と考え、
ご覧のような写真を作ってみました。2人のキャラクターの違いが
皆様に伝われば上出来なのですが。
※16
『バルーンファイト』=1984年にアーケード版が登場し、1985年にはファミコン版が発売されたアクションゲーム。