おそらく、このサイトの写真をご覧になったみなさんは
「この登場人物の組み合わせは、いったい何なんだ！」と
感じられることになるんじゃないかと思うんですが・・・。
 
今回、不思議なご縁があって、
たまたまWiiで同時期にゲームを完成させようとしている
坂本さんと坂口さんのお２人に集まっていただきました。
 
また、坂口さんと坂本さんとわたしは、実は同世代でもあるので、
今日は、同世代対談ということになります（笑）。
どういう展開になるのか、まったく予想がつかないのですが、
今日はよろしくお願いします。

よろしくお願いいたします。

実は、世の中であまり知られていないみたいなのですが、
２０年以上前に、坂本さんと坂口さんのお２人は
あるゲームで接点があったんですよね。
今回は、いきなりその話からしたいと思うんですが、
坂本さん、ちょっとその説明をしてもらえますか？

はい。実は『中山美穂のトキメキハイスクール』^（※1）という、
電話を使って遊ぶアドベンチャーゲームがありまして・・・。
 
（スタッフが、ゲームソフトとちらしをテーブルの上に広げる）

あ、こんなすごいものが！

（笑）

懐かしいですねぇ・・・。

ホントに懐かしいですね。

これ１本、いただいていいですか？

（笑）

途中で電話をかけるゲームだったんですよね。

はい。テキストアドベンチャーゲームで、
中山美穂さんはアイドルなんですけれども、
その正体を隠して通学している学校に
主人公が転校してきて・・・というストーリーなんです（笑）。
そこで、主人公であるプレイヤーが知り合って、
彼女と仲良くなっていくと、そういうゲームでした。

そのとき、坂本さんはどういう立場で参加されていたんですか？

まず最初にスクウェアさん^（※2）から
「電話を使ったアドベンチャーゲームの企画をやりたい」
というお話をいただきました。その時点では、
中山美穂さんのゲームにするという話は一切なくて、
とにかく仕組みとしてそういうことをやりたいと。
その打合せに僕がたまたま呼ばれて、話をお聞きしたんです。

坂本さんは入社何年目くらいだったんですか？

たぶん・・・７年目くらいですね。

このソフトは何年に出たんでしたっけ・・・。
（ちらしを見て）昭和６２年（１９８７年）ですので
入社５年目くらいですね。

５年目・・・ああ、あの頃ですね。

わたしたちが社会に出たのは昭和５７年（１９８２年）でしょう。
坂口さんは、確か５８年ですよね？

はい、そうです。

ですからこのソフトは２３年前につくられたんですね。

もうそんなに経ってしまったんですね・・・。

で、入社５年目の僕は、
アドベンチャーゲームに興味をちょうど抱きはじめていた頃でしたので、
当時の上司に「面白そうだからやりたいです」ということを
けっこう前のめりに話していたんです。
ただ、どうせやるんだったら、
そのゲーム用にキャラクターをつくるのではなくて、
アイドルを使って、イベントみたいにするというか、
お祭りっぽくやったほうがいいんじゃないか、という話をしました。

坂本さんはアイドルに興味があったんですか？

いえいえ、とくに興味はなかったんですけど（笑）。
でも、派手なほうが注目も集められると思いましたので、
「そういうかたちでどうでしょう」と働きかけました。

坂口さんと出会ったのは？

開発がはじまって、だいぶ先のことです。

そうですね、開発の終盤になってから
任天堂さんに伺うことになりまして・・・。
あれはどれくらいですか・・・期間は・・・？

けっこう京都にいらっしゃいましたよね。

確か２週間くらいカンヅメになりまして、
その間、京都駅前のホテルに泊まっていました。

あ、わたしもよくやりました、昔（笑）。
わたしも、ソフトの仕上げのたびに、
京都にこもっていたんですよ。
ちなみに、『バルーンファイト』^（※3）をつくったときは
坂本さんがドット絵を描いていたんです。

ああ、そうだったんですか。

で、絵のデータを直してもらったのを受け取ったりしていたのが、
わたしと坂本さんの出会いです。

そうなんですね。
僕のときは、最初に泊まったのは別の旅館だったんです。
ホテルがとれないということで、超高級旅館に通されて、
「オレたち、これからずっとここで暮らせるのか！？」と
大喜びしたんですけど、次の日にふつうの駅前のホテルに
移動させられまして・・・すごい落差でした（笑）。

あははは（笑）。

『トキメキハイスクール』の企画が進んでいた頃は、
坂口さんは『ファイナルファンタジー』^（※4）を制作されていたんです。

『ファイナルファンタジー』と同時期だったんですか？

そうです。
『トキメキハイスクール』は別チームで動いていたんですが、
ちょうど空いた期間があったものですから、
最終的にわたしも加わることになりました。

初めて坂本さんに会ったときの印象はどうでしたか？
ビジュアルの移り変わりの激しい方なんですけど、
当時と変わっていますか？（笑）

いや、当時の髪型も、いまみたいな感じでしたよね？

正直、どうだったか覚えてないんですけど、
・・・あ、こんなんでした、はい（笑）。

（笑）

最初に坂本さんが現れたときに、
絶対に任天堂の方じゃないと思ったんです。
「この人、誰？」と（笑）。

「どうして任天堂の制服を着てるの？」というような感じですか。

ええ、任天堂さんから部屋をお借りして
「ここで最後の仕上げをするんだ」という、
僕たちはガチガチに緊張しているなかで
「げんきぃ〜？」みたいな感じで現れましたから（笑）。
で、話してみても、柔らかいといいますか、
スッと引っ張り込まれる感じがあって、
「え、いつから友達だっけ？」と。

もともと馴れ馴れしいんです（笑）。

（笑）

坂口さんは『ファイナルファンタジー』の開発を終えて、
『トキメキハイスクール』に合流されたんですか？

ええ。チームの何名かが合流して、３カ月間くらいでしょうか。
で、最後は１０名くらいのメンバーといっしょに京都にやって来て、
２週間くらいカンヅメになって、なんとか開発を終えることができたんです。
そこで、「ああ終わった」と、みんなでお酒を飲みに行ったんですけど、
そのお店に電話がかかってきて、
「エンディングのバイクが空を飛びます」と。

バイクが空を飛んだんですか？（笑）

そうそう、飛んでましたねえ（笑）。

その連絡を受けたとき、みんなで
「そんなキレイなバグが出るはずがない！」
「人が悪いよなあ・・・」
とか言いながら戻ってみたら・・・ホントに飛んでいたんです。

あははは（笑）。

最後に「いろいろとお世話になりました」と、ちゃんと挨拶をしたあと、
エンディングを見ていたらキレイに飛んで行きましたからね。
僕は「わざとやったのかな？」と思ったくらいでした（笑）。

できすぎのバグだったんですね（笑）。

本当にキレイなバグで（笑）。
それは本当によく覚えています。