岩田
では最後に、このつくり方への感想と
お客さんへのメッセージを、蛭子さんからお願いします。
蛭子
最初はライバルと競い合いながら
つくる意識だったんですが、
いっしょにひとつのものをつくっていくうちに
妙な連帯感が生まれて、いいソフトができたと思います。
おわってみると非常に楽しかったので、
今後も、このようなつくり方のソフトを
定期的に発売したらいいんじゃないかと思いました。
岩田
宮本さんも、先日同じようなことを言ってました。
お互いに切磋琢磨して
刺激を受け合ってつくったものが、
最終的に高みにいったので、それをお客さんに
感じていただけたらうれしいですね。
蛭子
それから「モグラたたき」は激しく遊ぶゲームなので、
ストレス解消にもなります。
「石投げ水切り」は逆に、淡々と無心にプレイして
心をいやしてもらう癒し系の効果がありますので、
ぜひ楽しんでいただきたいです。
岩田
はい。溝邊さん、お願いします。
溝邊
任天堂さんがはじめてのつくり方をされたということで、
それにおつきあいできたことはすごくうれしかったですし、
欲を言えば、つぎは試作にチャレンジしたいと思います。
岩田
もし、つぎがあったら乗りますか?
溝邊
はい、ぜひチャレンジしたいと思います。
「ドッキングステーション」は、
やや難易度の高いゲームですが、
がんばってプレイしていただければと思います。
けっこうボリュームも多いので
じっくり楽しめると思います。
それからかくし要素で一定の条件で出てくる
「ドルフィン」では、海のなかを自由に泳いで、
魚を探すのを楽しんでください。
岩田
はい。船木さん、お願いします。
船木
おわってみて、すごく励みになりましたし、
参考にもなりましたので、
「やってよかったなあ」と思います。
「まきあげろ!海底のお宝」は、リモコンをまわすという
特殊な操作を楽しんでいただければと思います。
あと「一輪車」は、出現条件がきびしいですけれども
がんばっていただきたいなと思います。
岩田
はい。仁井谷さん、お願いします。
仁井谷
わたしは今回、サポート役とつくるほうの
両方をやっていたので、すごくバタバタしていたんですが、
つぎに機会があればゲームをつくるだけがいいですね(笑)。
「ボールとシーソー」は、
慣れてうまくなるとボールがシーソーの上を
すべるように動かせるようになるんです。
ぜひそういう領域に達していただけるとうれしいなと。
岩田
はい。細川さん、お願いします。
細川
じつはわたしはずっと任天堂社内で制作をやっているので、
外の会社の方とおつきあいすることは少ないほうだったんです。
今回、これだけの会社とおつきあいできて、勉強になりました。
ゲームに関しては簡単なものから難しいものまでありますが、
やり込む要素はすべてに入っているので、
軽くやってもらってもいいですし、気に入ったものを
ずっとやってもらうこともできると思います。
岩田
それは重要なポイントですね。
一般的にファミリー向けのミニゲーム集は
敷居が低いのですが、深さがないと思われがちなんですよ。
ところが今回は、つくり手のみなさん全員が“凝り性”ですので、
すべてのゲームに深みが出て、たっぷり遊べるんですね。
野中
それぞれのゲームに攻略がありますもんね。
もともと多人数プレイだったら
ある程度面白くなるものだけれど、
ひとりでやっても面白くしようという話がずっとあって、
今回はそれがきちんと出たように思っています。
岩田
はい。江藤さん、お願いします。
江藤
こういうつくり方は、スタッフに意見を聞いたりしても、
ほかのソフトの進捗(しんちょく)や完成度がすぐ目の前で
見られるのは、すごく刺激になりました。
弊社の「ふわっとバルーン」はコントロールが難しいですが、
練習して自分が思ったとおりのコースを
通れるようになると非常に気持ちがいいので、
ぜひチャレンジしてほしいなと思います。
それから「ポーズMiiプラス」は、すごいテンポで
頭をパッパッと切り替えていかなきゃいけないので、
一瞬の緊張感があります。
岩田
はい。谷口さん、お願いします。
谷口
こういうつくり方は『タイガーマスク』(※28)に出てくる
「虎の穴」(※29)っぽいですよね。
いろいろな人がガッと入れられて、
「ここから出られるヤツは全員じゃないぞ」って(笑)。
それでライバル同士、切磋琢磨するんですが、
いざできてみると、ひとりで1本つくるよりも、
すごく筋力がついた気がする感じがするんです。
こういうやり方をされるなら、
僕もまた「虎の穴」に飛び込みたいです。
※28
『タイガーマスク』=梶原一騎原作、辻なおき作画のプロレス漫画。
※29
「虎の穴」=『タイガーマスク』に登場するレスラー養成機関。
一同
(笑)
谷口
「傘ライダー」に関しては風の強い日に傘で風を受けるという、
だれもがやったことのあることを大げさに再現してみました。
風に対して傘をどう動かすかで進行方向が変わるので、
もう一度同じ距離をねらっても難しいという、
非常に手ごたえのあるゲームになったと自負しています。
岩田
はい。中さん、お願いします。
中
僕もみなさんと戦っている感じはすごく面白かったですし、
また毎年、任天堂さんによる“N-1グランプリ”を
やっていただきたいですねえ(笑)。
岩田
“N-1グランプリ”ですか(笑)。
中
はい(笑)。反省点としては、
任天堂さんとははじめて仕事をしたこともあり、
期限をバッチリ守ろうと動きすぎてしまったため、
おわってみれば、もう1本くらいつくれたかなと思っています。
はじめは12月や1月末くらいが締め切りだったんですが、
3月、4月まで入っても作業をつづけていたんですね。
高橋
・・・すみません。
じつは締め切りは、それぞれの進捗を見ながら
会社さんごとに変えていた部分も多少はあります・・・。
中
あ、そうだったんですか(苦笑)。
じつは、1月末と言われていたのに
「ほかから来たスケジュールだと2月末になっている・・・」
って不思議だったんです。
でも細かいところまで気を遣って直していくところが
すごく勉強になりましたので、
ぜひまたごいっしょしたいです。
「360°シューティング」については、
1発1発外さずに撃つと、決まったときに
非常にうれしいゲームに仕上がりましたので、
ぜひ楽しんでいただければと思います。
岩田
はい。大島さん、お願いします。
大島
わたしも“N-1グランプリ”をぜひやっていただきたいです。
ただ、お客さんにベスト3を選んでいただいて発表して、
それ以下は発表しないでいただきたいですけど(笑)。
岩田
やはり何が面白かったか、投票を集めてみたくなりますよね。
大島
はい。それから「アイスクリームチャレンジ」は、
とにかく積み上げて、どこまでいけるだろうというところまで、
大人も子どもも真剣にチャレンジしてほしいと思います。
「ジャンピングランド」は、アクションに慣れていない方でも
もちろん遊べますが、とくにアクションゲームが大好きな方に
ぜひ遊んでいただきたいなと思っています。
「ゴーストマンション」は、子どもたちにぜひ、
家の中にいるおばけを探して、つかまえるという快感を
楽しんでいただきたいなと思います。
岩田
はい。それでは野中さん、お願いします。
野中
まずはみなさん、いろいろとご迷惑をおかけしました。
また本日ここには参加できなかった方々に対しても、
この場を借りて感謝いたします。
今回、関わった人ですが、クレジットの数を見ると
デバッグのスタッフをのぞいて200名くらいいるんですね。
そんな大規模でつくったものがミニゲーム集という、
この感覚がまたすばらしいのではないかと思います(笑)。
そんな大勢で制作したミニゲーム集ですが、
最初のお題である各社の“色”が出ながらも、
パッケージとしてまとまりのあるものに仕上がっています。
それから、このゲームはパーティゲームのようですが、
ひとりで遊んでも楽しいゲームになっています。
岩田
そう。この間、最終版のソフトを貸してもらったんですが、
部屋でひとりでけっこう遊んでいますよ(笑)。
ひとりで遊んでも、十分楽しめる手ごたえがありました。
野中
ありがとうございます。
もちろん多人数で遊ぶとより楽しいですし、
だれかが好きになるゲームが必ずひとつはあるんです。
だから購入していただいても決して損はしないし、
Wiiリモコンプラスもついていて、お得だと思います。
岩田
はい、では最後に高橋さんは?
高橋
今日のお話を聞いていて、
みなさんが「もう一度やりたい」と言ってくださるほど、
制作過程においてもお互いに刺激しあっておられたことを
あらためて実感しました。
じつは、各制作会社さんには任天堂の企画開発部の
さまざまなグループのスタッフが担当としてついているんですが、
その部内のグループ間の交流に関しても、
今回のプロジェクトをキッカケにより密になろう、
というプロジェクトでもあったので、
そういう意味でも今回はうまくいきました。
各会社さんが集まってひとつのソフトをつくったことと、
部内のメンバーが深く知りあってものをつくれたということ、
このふたつの効果で、このクオリティになったのかなと思います。
岩田
今回、任天堂内部の人もみんな、やってよかったと
思っていますので、この点でも手ごたえがありましたね。
高橋
お客さんへのメッセージですが、ゲーム初心者の方には
当然プレイしやすいつくり方をしていますが、
ゲームに慣れている方にとっても、
ひとつひとつのゲームに深みがあってやりがいがあるし、
「この開発会社さんがこのゲームをつくっている」
という少しコアな楽しみ方もしていただけると思います。
野中
ちなみに、制作会社さんの名前とゲームのクレジットは、
タイトル画面の中に、仕掛けとして入れているんです。
Wiiリモコンプラスならではの方法で出てくるので、
ぜひタイトル画面で探してください。
岩田
大変だったはずの過程も含めて、
今日、みなさんがすごく楽しそうに語ってくださったので、
この感じがぜひ、お客さんに届いてほしいなと思います。
おそらく、みなさんが第一印象で感じられるよりも
かなり密度の濃いものができあがった手応えがありますので、
世界中のたくさんのお客さんに届ける努力をしたいと思います。
今日はみなさん、どうもありがとうございました。
一同
ありがとうございました。