岩田
でも、そうやって細かくリクエストを出して、
そのリクエストに準じてできているはずなのに、
できあがってきた曲を聴くと
びっくりすることもあるわけでしょう。
桜井
ええ、もちろん。
岩田
「こう来たか」みたいなことがあるんですよね。
遊ぶ前にあまりばらすのもよくないですが、
言ってもいい範囲で、いくつか例を挙げられますか。
桜井
そうですね。
『お料理ナビ』なんかはおもしろかったですよ。
岩田
『お料理ナビ』。
桜井
『お料理ナビ』って、レシピや調理法を
しゃべるのがいちばんの特徴じゃないですか。
「肉ヲ、よくたたいてクダサイ」とか。
で、仕上げていただいた曲を聴いてみたら
いちばん最初のところで
「さァ、大乱闘ヲいたしまショウ」ってしゃべるんです。
岩田
(笑)。
桜井
そういうことって、やっぱり、
原作者にしかできない遊びなので、
わざわざゲーム中のデータから起こして
つくってくださったんだと思うと
うれしかったですね。
岩田
いや、じつはね、音楽の担当者が
「おもしろいものができましたよ」って
わざわざ私のところに言いにきてくれたんですよ。
桜井
あ、そうですか(笑)。
内部でもそうとうウケてました。
岩田
あと、音楽に関して
「こんなことまでやっちゃいました」
というのはありますか?
桜井
そうですね、ふつうであれば
こういう曲は選ばないだろう、ということでいえば、
『X(エックス)』の曲が入ったりしていることですかね。
岩田
『X』ね。
ゲームボーイ初期の。狭いなー(笑)。
桜井
まぁ、「X」つながりで。
岩田
『スマブラX』の「X」と。ほんと?
桜井
ウソです(笑)。
いや、純粋に、『X』の
“トンネルシーン”の曲が好きなんですよ。
あれは、『どうぶつの森』の
「とたけけ」のモデルとして有名になった
戸高さんのデビュー曲に近いんじゃないでしょうか。
岩田
あ、あの曲は戸高さんなんですか。
桜井
わたしも知らなかったんですけど、
どうやらそうみたいなんです。
フレーズも少なくて、短い曲なんですけど、
とってもいいんですよ。
原曲そのままでもいいから入れたいと思っていたら、
かっこよくアレンジしてくださって、
すごくいい味になっています。
岩田
しかし、全部聞くと、
そうとう聴きでがありそうですね。
桜井
あるどころじゃないですよ。
岩田
協力とか監修ではなくて、
『スマブラX』のために
きちんと音楽をつくってくださった方の数って
全部で何人くらいになるんですか。
桜井
ええと、30人以上ですね。
岩田
はぁーー。
絶対、破られない記録でしょうね。
桜井
でしょうね(笑)。
『スマブラ』以外ではありえない。
(続きます)