岩田
あと、対戦の新しい要素でいうと、
「アシストフィギュア」がありますね。(企画書表示)
まずは簡単に説明してもらえますか。
桜井
ええと、アシストフィギュアというのは、
要するに支援キャラクターで、
前作をプレイしてくださっている人は
アイテムの「モンスターボール」をイメージしていただけると
わかりやすいと思います。
試合中、ステージにカプセルのようなものが出現して、
それを拾って使うといろんなキャラクターが出てきて、
相手を攻撃したり、無闇に暴れたりして、
一定時間、使ったプレイヤーのキャラクターを
支援してくれるという仕様になっています。
岩田
メインのキャラクターの数もすごいですけど、
アシストフィギュアとして登場する
キャラクターの多さもものすごいですよね。
桜井
はい。ムチャしました(笑)。
岩田
たとえば『ニンテンドッグス』の犬とか、
『どうぶつの森』のリセットさんとか。
あのあたりはどういう狙いがあって選んだんですか。
桜井
純粋にお客さんがうれしいかどうか、
というのがいちばん大きいところですね。
やっぱり、人気のあるゲームだとしても、
戦闘にふさわしくないキャラクターというのは
どうしても『スマブラ』には出しにくいんですね。
いま話にでた『ニンテンドッグス』とか
『どうぶつの森』というのはその最たるもので。
でも、たくさんの方に遊ばれているゲームですから、
『スマブラ』に出てくるとみんなうれしいだろうな、
というのはよくわかる。というときに、
なんらかの形で出せないだろうかと考えて
行き着いたのがアシストフィギュアだったんです。
アシストフィギュア映像
岩田
開発当初、桜井くんは、
「『ニンテンドッグス』の犬を
戦わせるわけにもいかないじゃないですか」
って言ってましたよね。(企画書表示)
桜井
アシストフィギュアの扱いとして
「単純に相手を攻撃するだけじゃない」
という広い意味合いのものにしているので、
いろんなキャラクターを
出すことができるようになったんです。
たとえば『ニンテンドッグス』の犬なんかは、
画面に向かって、じゃれてくるだけで、
ぜんぜんアシストになっていない(笑)。
岩田
ようするにあれは、画面を隠して、
一定時間、見えなくさせるだけのもので。
桜井
そうです。ただの目隠し(笑)。
いちおう根拠というか、ああした理由はあって、
やっぱり、子犬って、
思うようにならないものじゃないですか。
ゲームしていると、じゃれてきたり。
岩田
なるほど(笑)。
桜井
そういう感覚を表現したんですけど、
まあ、画面を隠すなんて、
こういう競技的なゲームでは
ふつうは許されないことですよね。
岩田
そうですね。
桜井くんは、『スマブラ』というゲームのことを
「こういうスポーツなんです」ってよく言いますけど、
このゲームは、とっても「ゆらぎ」のある場で
やるスポーツなんですよね。
桜井
そうですね。
なんかそういうアクシデントが好きというか、
もっというと、「いたずら」が大好きなので、
ついついこういうことをやってしまう。
岩田
ああ、『スマブラ』って、たしかに、
いたずら心を詰め込んでできているソフトですよね。
桜井
はい。明らかに(笑)。
だから、つくっていて楽しいし、
人がやっているのを観ていても楽しい。
岩田
お客さんの立場からすると、
「こんなことも入ってるわ」という
発見のおもしろさがあって。
桜井
そうですね。
岩田
基本的に私は、
あらゆるゲームが量を増やす方向に進むのは
よくないことだと思っているんですが、
『スマブラ』に関しては、そうは思わないんですね。
量を詰め込む甲斐があるというか、
「なんでも入る容れ物」のようなところがあって、
このゲームは量があってもOKだと思うんです。
桜井
入れれば入れるほどアクシデントが増えて
おもしろくなるんですよね。
だから際限がなくて困るんですけど。