岩田
さて、いろいろなハードルを乗り越えて
できあがった『NHK紅白クイズ合戦』ですが、
お客さんに対して、どんなふうに楽しんでほしいかを
改めてお訊きしたいのですが。
まずは菅田さんから。
菅田
感無量なところがありまして・・・。
苦節2年・・・。
岩田
「やっとできたぞ」という感覚ですか?
菅田
はい。ほんの1年前までは、江幡さんが
「菅田さん、これ、できません」と言ってたくらいですから。
江幡
何でそんなこと言うんですか!(笑)
一同
(笑)
齋藤
江幡さん、そうだったんですか?
江幡
それは・・・はい(笑)。
菅田
やっぱりいろんなハードルがありましたので・・・。
なので、ぜひやっていただきたいのは、
NHKの職員やスタッフのみなさんですね。
あとはNHKファンといいますか、
テレビはNHKしか見ないとか、
そういった方もたくさんいらっしゃると思うんですけど
そういった方にもぜひ・・・。
岩田
NHKファンの方は迷わず体験してほしいと。
菅田
ええ。で、「ジェスチャー」とか
「面白ゼミナール」を放送していた時代には、
ご家庭にビデオがありませんでしたので、
テレビを見るというのは実に真剣勝負になっていて、
多くの人にとっては、一瞬も見逃してはいけないという
そんな時間だったんですね。
岩田
そうでした。当時はみんな
すごい集中力でテレビの前に座っていましたからね。
菅田
こう言ってはいけないかもしれませんが、
民放だったら、コマーシャルの間は休憩できますけど、
NHKだと休憩もできないんですよね。
岩田
あははは(笑)。
菅田
だから、ビデオのない当時の番組というのは、
ずっと集中して見るようにしていて
もし見逃すようなことがあって、
次の日に学校に行くと・・・。
岩田
話題に取り残されてしまったんですよね。
菅田
そのような真剣勝負で見た、われわれの世代、
そして、われわれに近い世代の人たちにも
ぜひ楽しんでいただきたいですね。
岩田
実際に、懐かしい番組の
タイトルロゴとか、テーマ曲が流れると、
忘れていた人も、みんなすごく強烈に蘇るみたいですね。
わたし自身も見せていただいて、
当時の記憶がフラッシュバックしましたから。
さて、江幡さんはどこを見てほしいですか?
江幡
そうですね・・・、
意外とNHKではこういうのを放送していたんだというものも、
ちょこちょこ入ってます。ちょこちょこと(笑)。
ですから、もしかしたらみなさんのなかに
「NHKとはこういうものだ」
という思い込みがあるかもしれませんが、
それがいい意味で壊されるかもしれませんので、
新鮮な気持ちでお楽しみいただきたいですね。
岩田
ちょこっとイタズラ心も入っていますか。
江幡
はい、ちょこっと、というより、
ちょびっとですね(笑)。
岩田
野上さんは?
野上
僕はですね、ご質問に対して
直接の答えになっているのかどうかわかりませんが、
NHKにとって、とくにこの10年くらいは、
どうやったらもっと放送を見てもらえるかとか、
いままでNHKを見なかった視聴者層の方に、
どうすればチャンネルをまわしてもらえるかとか、
ひじょうに大きな課題になっていたわけです。
岩田
はい。
野上
そこで、新しい時代に向けて
番組に参加していただいたり、
番組自体にインタラクティブ性を持たせるようなことは、
NHKのひとつのテーマだということもありまして、
今回のゲームソフトは
まさしくその第一歩のように感じているんです。
そもそもゲームソフトは
スイッチを入れていただいて、起動してはじめて・・・。
岩田
触らないとはじまりませんからね。
野上
そうなんです。そのへんが、
インタラクティブ性を求めている放送業界と、
もともとゲームをつくってらっしゃる方々と、
お互いの力を合わせて
新しい何かを開発していける余地があると思っているんです。
岩田
たしかに今後、NHKさんの番組づくりの方法論のなかで、
任天堂的な考え方が
部分的に取り入れられることもあるかもしれませんし、
逆にWiiでできるストリーム配信のなかに、
インタラクティブな要素を入れながら、
部分的にNHKさんの素材などを入れさせていただいたりだとか、
いろんな可能性がありますよね。
野上
はい。
ですから、とにかく今回のソフトを
できるだけ多くのお客さんに遊んでいただいて、
次につながるキッカケになればいいなと思っています。
岩田
それでは、最後に齋藤さん。
齋藤
今回のソフトには
けっこういろんなバリエーションのクイズ番組が入っていまして、
なかにはむかしの番組なんですけど、
いまだからこそ新鮮に感じるものもあると思うんです。
なのでそういったものを、ぜひ1度体験してほしいなということと、
あと、そのベースにある“安心感”が、
このソフトの魅力かなと思っています。
今回は、NHKさんと任天堂が組ませていただいて
“安心して楽しめる”というところが、
もっとも実現できたと思っています。
岩田
それでは、わたしから。
これから年末年始を迎えるにあたって、
家族団らんや親戚が集まったりする機会が増えますが、
そんなとき、世代がバラバラであっても、
それぞれの持っている知識や経験を活かして、
テレビ画面の前にいる人たちみんなが
楽しんでいただけるものができたと思います。
クイズソフトは世の中になかったわけではないんですが、
三世代がいっしょに遊べるものは
世の中にはあまりなかったように感じています。
もともとタッチジェネレーションズ(※6)のロゴマークには
三世代の人の絵が描かれていて、
三世代の人がいっしょに遊べるようなものを
つくろうという思いが込められていたんですが、
広い意味で言うと、今回のソフトには
おじいちゃんがいちばんわかるかもしれない問題も
ほどよく混ざっていたりして、
その考え方に通じるところがあるように思っています。
それは任天堂1社だけでできたかというと不可能で、
NHKさんのものづくりのノウハウであり、
素材の莫大なライブラリーであり、
そしてそれを支えた、たくさんの人たちのお力を借りられたことで
実現できたように感じています。
みなさん、本当にありがとうございました。
※6
タッチジェネレーションズ=『脳を鍛える大人のDSトレーニング』や『nintendogs』など、老若男女を問わず、誰もが楽しめるニンテンドーDSとWiiのソフトラインナップのこと。