戸高
それでは1本目のクリップを紹介したいと思います。
先ほど話にもでた、『Wii Music』プロデューサーの
手塚さんのクリップです。
戸高
これが手塚さんの
「ときどきスーパーマリオブラザーズ」です(笑)。
ほとんどの方が、「スーパーマリオブラザーズ」の演奏とは
気付かないと思うんですが、「ときどき」というより「たまに」、
「マリオ」のフレーズに戻ってくるという奇妙なクリップです。
ただ、このクリップのすごいところは、
単純にムチャクチャ演奏していているのではなく、
ベースとなるリズムや原曲を意識した上で、
メロディラインを見事に崩しきっているというところですね。
さて、次は宮本さんの作品です。
ちょっとファンキーで、ロックな雰囲気を楽しめるクリップです。
戸高
ただ単純にドラムを叩くだけではなくて、
イレギュラーなところでBボタンを入れると
このクリップのように変則的な演奏ができます。
さらに、中盤のギターソロのときに、
ベースを止めたりするとちょっとしたアクセントになって
メリハリをつけることができるんですね。
次は、私の上司の近藤さんのクリップです。
戸高
前半は三味線とバンジョーの2パートだけの演奏で
ゆったりと、たおやかにはじまり、
途中の口笛を合図にリズムが入って
沖縄サウンドっぽい感じで盛り上がっていくのが特徴です。
口笛はホイッスルのAボタン押しっぱなしで、
三味線も細かい音を出す時だけ速弾きするというようなことをして
とても芸の細かい内容になっています。さすが上司です(笑)。
次はコ・プロデューサーの江口さんのクリップです。
僕と2人で同時に演奏して、一発録りしました。
戸高
『Wii Music』のテーマ曲ですね。
トランペットの音がとても曲に合っていて
江口さん、すごく気持ちよさそうに吹いてました。
戸高Miiのドラムは、ちょっと特殊な操作をしています。
つねにWiiリモコンのBボタンを押して
スネア、つまり真ん中の手前にあるドラムで
「タン♪タン♪」という音を出しています。
次は僕のクリップです。「セプテンバー」をご覧ください。
戸高
サイドギターは重ね録り時に
あらかじめテンポを落として演奏しています。
まあ、裏技になるんでしょうか(笑)。
途中で、一瞬ベースの音を抜いてるんですけど
そうすることでとストーンと落ちた感じというか、
無重力状態の中に浮いた感じが出て、
曲にメリハリをつけることができます。
なので、弾くことに慣れたら
次は「あえて弾かないこと」を意識しながら演奏すると
メリハリの効いたサウンドになりますので、
ぜひお試しください。
続いてはアイリッシュ系の音楽が大好きな
サブディレクターの和田さんのクリップです。
独特なジャケットデザインにも注目してください。
戸高
このクリップをひと言で表現すれば、
「アイリッシュが宇宙と合体」でしょう(笑)。
「オクラホマ・ミキサー」を題材にしながら
けっこう崩した演奏をしていますね。
アイリッシュの音楽は足を使って独特のリズムを刻んだり、
アコーデオンが使われたりしますけど
そういった特徴的な楽器をうまくピックアップしてます。
アイリッシュでよく使われるティーンホイッスルという金属の縦笛も、
リコーダーで代用しています。
さらに、3連のリズムでアイリッシュの特徴的なリズムを再現して
アイリッシュ感をしっかりとしたものにしています。
それをこのステージで演奏する事でプラスアルファが生じ
独特の壮大さが醸し出された作品に仕上がっているのだと思います。
次はかなり高度なクリップです。
サブディレクターの疋野(ひきの)さんがつくりました。
戸高
「新世界より」ですね。でもリズムを変えてるんです。
もともと「新世界より」は4拍子なんですけど
このクリップは「新世界より」を5拍子にしているんです。
僕は、3拍子を2拍子にするとか、
2拍子を3拍子にするようなことはやってきた経験があるんですけど
4拍子を5拍子にするようなことはやったことがありません。
これを完成させるには、そうとう苦労したと思います。
おそらく、最初は右下にいるテンポくんが一回りする間に
カウベルを等間隔で5つ叩き続けて基本の5拍子を作成する作業を
ひたすらやったんじゃないでしょうか(笑)。
しかもリズムがはねてるんですね。ジャズっぽく。
かなり高度です。僕にはできない技です(笑)。
では、次は音楽のことが全然ダメダメだった
サブディレクターの森井さんのクリップを紹介します。
戸高
元の曲が「アー・ユー・スリーピング」だってわかりました?
ベースラインもまったく違いますし、
リズムの変り様が突き抜けてますね(笑)。
もともと音楽の素養がなくても
ここまで崩した演奏ができるという一例ですね。
このようなことを普通に生で演奏しようとしたら
すごく大変なんですけど、
こういった事を簡単にできてしまうあたりが
『Wii Music』ならではなところです。
さて最後は、女性スタッフのクリップが2本続きます。
まずはデザイナーの岩澤さん。
ブレイクの使い方に注目してください。
戸高
途中は弾かずに休んだりとか、
見せ場をちゃんとつくっています。
ブレイクがいい感じなので、最後もしまっていますね。
それに彼女もメロディをそのまま弾くんじゃなくって、
全然違う感じに弾いていて、他にもこのようなクリップを
たくさんつくってくれていました。
で、2人目の女性はデザイナーの廣野さん。
今回はUIとかモデリングであるとか
いろんなことを担当してくれました。
曲目は『おいでよ どうぶつの森』です。
Miiに注目してください。
戸高
『どうぶつの森』らしく、
犬とかネコのようなMiiがいて
ステージも世界観にピッタリ合ってますね。
リズムにDJを使って、不思議な印象になってます。
しかも最後に虹も出ましたよね。
高原のステージでは、みんなで一斉に回転したりすると
虹がバーッとかかったりするんです。
ステージごとに、さまざまな演出が楽しめますので
ぜひ皆さんにチャレンジしていただきたいですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
皆さんのクリップづくりの参考にしていただければと
思います。ありがとうございました。