Toy-Conを触っていると、普通のコントローラーとはやっぱり違う手触りとか、手ごたえを感じますよね。そういうところもこだわりがあるんでしょうか?
「物理フィードバック」と呼んでいますね。バイクのアクセルなんかはそうだと思います。
だんだん力がかかるように、輪ゴムが入っています。
今までは、たとえばWiiリモコンとかでも、何もない空中でふわふわ操作する感じでした。でもやっぱりハンドルならここにシャフトがほしいし、バイクならアクセルの反動がほしいし。
そう、ハンドルやブレーキを動かしたあとの、「戻り」の感覚もあるんですよね。
“エア”でなくやっぱり物質の手ごたえがほしいってことは、僕に限らずみんな感じていたんじゃないかと思います。この『Labo』の構造であれば、そういう「物理フィードバック」も実現できるんです。
加えて、2つのJoy-Conに何かコンストレイント(拘束)を加えて、「こういう形でしかJoy-Conが動きません」ということにすると、その値がすごく取りやすくなるんですよ。
拘束することによって入力の値がいい意味で制限されるので。
それにこういう「つりざお」の形になってしまえば、「つりざお」の形に持つしかない。そこは間違わないですむんです。ここにもやっぱり、僕の今まで感じてきた「恐怖」があって。
『スプラトゥーン』開発中にチーム外の方に触ってもらう機会があって、その際「Wii U GamePadを持って右に向けてください」って説明したんです。まぁいろんな傾けかたをする人がいるんですけど、一人すごく覚えているのは、首だけをこう右に向けた人がいて・・・。
ビックリしましたけど、でも・・・これってもしかして、世の中に万単位でこういう意図とまったく違う受け取りかたをする人もいるんじゃないか?と思って。その時に、ゾッとしたんです。「みんな、どうやって遊んでるんや!?」って。
それが恐怖という視点になっているんですね。
それはもう恐怖ですね。
何をするにせよ、最初にある程度は説明のコストがかかるんです。学習コストというか。そこを本当にクリアできないと、どんなゲームもそもそも遊べない。その説明をなるべくシンプルに、なるべく短くしたいってところはずっとありました。今回はそこに注力してひたすら「わかりやすく」するにはどうするか?って常に考えて・・・パッと見で「どう持つか」「どう動くか」がわかるように心がけています。
なるほど。
ただ「リモコンカー」で、Nintendo Switch本体にアンテナをつけているの、わかりますか?
ああ、ついていますね。
あれだけは、じつは機能的には意味がないんですよ。
「機能があるものしかつけないから、そんなん全部いらん」って、いろいろ削っていったんですけど、あのアンテナは意味なくつけているんです(笑)。
でも、あるとないのとでは全然違う気がします・・・!
あれを機能とみなしたところもポイントなのかなとは思うんですけどね。
あれがあるおかげで、一目でリモコンカーだってわかりますよね。
ちなみに・・・このつりざおのリールのところも、なんでカチカチいわせたん?
これはもう、カチカチいったほうがいいからですよね(笑)。
じつは、こっち(順回転)とこっち(逆回転)で音が違うんですよ。たまたまですけど(笑)。
あとはココ(つりざおの先)も、別に伸びなくてもいいんですけどね。
音がするとしないとでは全然気分が違いますし、つりざおも伸びたほうがうれしい・・・。(笑)この「ピアノ」の鍵盤も、押すと戻ってくるんですよね。
そう。最初の頃からこの鍵盤の重みをすごく気にしてましたね。手ごたえとか。
『Nintendo Labo』はこういうプロジェクトなので、せっかくだから標準のコントローラーではできないことをいっぱいやっておこう、っていうのもあったんじゃない?
そうだと思います。