リスク回避をするために先手を打つリスク回避をするために先手を打つ

「NINTENDO 64 コントローラー」の開発プロジェクトに参画

私の仕事は、製品を世に出すことになったときに、ハードウェア開発プロジェクト全体の計画を整理し、進捗状況を確認しつつ、発売するまでの工程を管理することです。いわゆるプロジェクトマネジメントと呼ばれている仕事になります。この仕事において私が大切にしていることは、先回りをしてリスク回避をするということです。開発中にはさまざまな課題や問題が発生するため、最初にどのようなリスクがあるのかを考えられるだけ考えておいて、対策も用意するようにしています。そうすることで何か問題が生じたときに、「どうしよう?」と頭を抱え込むこともなく、あらかじめ考えておいた対策を実行することで、開発を進めていくことができます。

私はこれまで、「Newニンテンドー3DS」や周辺機器類など、さまざまな製品開発プロジェクトに関わってきましたが、2021年に発売した『NINTENDO 64 Nintendo Switch Online』で遊ぶための「NINTENDO 64 コントローラー」もそのひとつです。

「NINTENDO 64 コントローラー」のプロジェクトには、重要なミッションがありました。それは、『NINTENDO 64 Nintendo Switch Online』を遊べるようになるタイミングで、お客様の手元へ「NINTENDO 64 コントローラー」をお届けできるようにする、というミッションです。「NINTENDO 64のタイトルを遊ぶなら、やっぱりこれだよね」という標語を掲げて開発がスタートしました。

配信日までにお客様の手元にお届けする

「配信日までにお客様の手元へお届けする」というミッションの達成に大きな障害となる一つが、認証取得のタイミングに関する問題でした。世界各国には、それぞれの国の法規制があり、例えば電波の出力の上限などが決められています。国によっては、通関を通したり製品を販売するためには、規制に適合した製品であることを示す認証取得が必要です。そして認証を取得した際に、製品の一部情報が認証情報として公開される国もあります。任天堂からの製品の正式発表より前にこういった形で情報が出てしまうと、お客様に製品を正しくご理解いただくための適切な情報がお届けできませんし、お客様の「良い意味での驚き」を失ってしまう可能性があります。そのため、認証情報がこういった問題を生じさせないようにスケジューリングします。

一方で、国によっては流通事情などで、通関をパスしてから製品がお客様の手元へ届くまでには時間がかかります。そのため認証取得も、発売よりもある程度早いタイミングで実施する必要があります。

『NINTENDO 64 Nintendo Switch Online』の配信日にお客様の手元にお届けすることを目標としていた「NINTENDO 64 コントローラー」では、当社が予定をしていた正式発表時期より前に、認証取得に伴う情報公開が発生することは避けて通れない状況でした。認証取得に伴う公表の一部は、短期間であれば 一定程度制限することが可能であり、これを利用すればよいことは分かっていました。ただ、非常にきめ細かい日程調整や丁寧な情報管理を行わなければ、意図しない事態になる可能性もありました。ここにリスクを感じた私は、先手を打ってさまざまな部署との調整を行う旗振り役を担うことにしました。

このスケジューリングや情報管理には、認証や広報だけでなく流通も考慮する必要があるため、複数国にわたってさまざまな部署や人が関わり、これら全体を俯瞰した丁寧な調整が求められます。調整を進めるにあたっては認証情報公開や正式発表の日程に加えて商品流通に必要な日程などといったカギとなる情報を収集して整理しつつ、複雑に絡み合う依存関係を紐解きながら、多くの関係者に説明していく必要がありました。

これらの関係部署への質問や説明の際に、私が特に心がけていたことがあります。それは、さまざまな部署のみなさんが持っている知識などのバックグラウンドが異なることを意識して、それぞれの部署の人たちが理解できるよう、適切に言葉を変えながら意図するところを伝えることでした。こうすることで、必要な情報を適切に集めることができ、関係者の理解を得ることもできました。その結果、プロジェクトにとって適切なスケジュールを決めることができたのです。

実際に発売日を迎えて、「NINTENDO 64 コントローラー」の発送がはじまると、SNS上などでお客様の「届いた!」という喜びの声がたくさんあり、とても嬉しく思ったことを覚えています。困難な調整も多く大変ではありましたが、お客様に喜んでいただくために、先手を打って行動をしたことは間違いではなかったと思います。

社員略歴

竹本技術開発部/2004年入社
2004年「理工系(ハードウェア)」入社。
「Newニンテンドー3DS」や周辺機器類など、さまざまなハードウェア開発プロジェクトにて、スケジュール立案と進捗管理、プロジェクト会議の運営など、プロジェクトマネジメント業務に携わる。
職種

↑