6. 1年間、ずっと遊んでほしいソフト
岩田
でも、よくもまあ、
これほどの量をつくりましたねぇ。
高橋
みんな、がんばってくれたな、
と思います、ホントに。
岩田
みんなを完成に駆り立てたものは
いったい何だったんでしょうか?
京極
完成形が、みんなの中に
「わりと見えていたんじゃないか」と思います。
自分がかかわったものが、あの世界に乗っかって、
それがどう使われるのかということを・・・。
岩田
ああ、そうなんですね。
自分がつくっているものの意味を
それぞれのスタッフが理解していたんですね。
高橋
そう思います。
それに今回は、どうぶつたちが住んでいる家も、
「このキャラクターだったら、
こういう家にすんでいるんだろうな」ということで、
家のパーツも量産したんです。
でも、そうすることで、いろんなものが
かみ合っていく感じがありました。
岩田
これまで別々につくっていたものが、今回のように、
「このどうぶつはこんな家に住んでいて、
だったら、こういうパーツも必要」
となっていくと、これまで以上に
その世界をつくっている感じになりますよね。
高橋
そうなんです。
その組み合わせが合う感じが、
「今回の手ごたえにつながっているんじゃないか」
そう思います。
京極
あと、今回の開発の特徴として、
以前からシリーズに
かかわってきたスタッフがいるなかで、
はじめての人もけっこう多かったんです。
岩田
はい。
京極
じつは開発経験がないどころか、
このゲームを遊んだことのないスタッフもいたんです。
なので、そういった人たちに、
まずは過去作を遊んでもらったんです。
そうしたら、すごく楽しく遊んでもらえて、
その結果、このソフトにとって物量をつくることが
ものすごく重要なことなんだと、
遊び手の立場で、体感してもらえたんだと思います。
岩田
「こんなにつくってどうするんですか?」とは
誰も言わないわけですね。
京極
はい。自分が遊ぶとき、
物量が大事なんだということが、
みんなの共通認識としてあったんだと思います。
岩田
ところで・・・
これは勝手な思い込みかもしれないんですけど、
なんとなく、『どうぶつの森』チームの人たちは
みんな仲がよさそうな気がするんですけど。
京極
そうですね(笑)。
毛呂
わりと毎回、外からは
そう言っていただいてます。
岩田
外からだけ、なんですか?
毛呂
いえいえ、実際に仲がいいです(笑)。
岩田
そもそも、このように
ぎすぎすしたものが少ないゲームって
世の中にあまりないじゃないですか。
毛呂
そうですね。
京極
そんなゲームの雰囲気が
「そのままチームに現れているのかな?」って思います。
たとえば1年を楽しむゲームなので、クリスマスとか、
七夕とか、いろんなイベントが発生するんですけど、
実際に、チームに入ったばかりの新人さんたちが
自主的に、七夕になると、
みんなのために笹と短冊を買ってきて、
開発の部屋に飾ったりしていました。
岩田
新人さんが、自主的にですか。
京極
はい。それに、クリスマスのときは
『どうぶつの森』の家の形をした、
手づくりのケーキをつくってくれました。
岩田
それって、まさに
リアル『どうぶつの森』ですね(笑)。
毛呂
そういったことが起こるのは
ゲームの雰囲気が、制作者にうつっているのか、
制作者の雰囲気が、ゲームにうつっているのか、
どっちかはわからないんですけど・・・。
岩田
きっと、お互いが影響しあっているんでしょうね。
毛呂
はい。そうなんだと思います。
岩田
わかりました。
では最後に、お客さんに
お伝えしたいことを、それぞれお願いします。
高橋
このゲーム、なんでもできるんですけど、
なんでもやった結果、そこから感じる手ごたえを
なるべくたくさん用意してありますので、
「それを感じていただきたい」と思っています。
たとえば、目に見えるところでも
地面の色がだんだん変化していったり、
木が色づいていったりとか、そういう変化が
1年を通じて感じられると思いますので、
「長く遊んでいただきたい」というのが、
いちばん伝えたいことですね。
岩田
「村の中で起こるいろんな変化を味わってほしい」
ということですね。
高橋
はい。とりあえず節分までは・・・。
毛呂
え、節分って、わりとすぐですよ(笑)。
岩田
あと3か月しかありませんよ、高橋さん(笑)。
高橋
えー、恵方巻きは体験してほしいので・・・。
一同
(笑)
毛呂
僕は、このソフトを通じて、
「友達と、いろんな話題を共有してほしい」と思います。
もうすっかり有名になっている話ですけど、
バラを交配していくと、青いバラができるんです。
そのことはゲームの中では
いっさい触れていないんですけど、
もし自分でなにか発見したことがあれば、
それを誰かに伝えて、
「うそ!? そんなのあるの?」という感じで、
「自分でも実際に確かめてほしい」
と思っています。
岩田
ひとりで遊ぶのも楽しいけど、
「遊んでいる人から話を聞くと、もっと楽しくなりますよ」
ということですね。
毛呂
はい。しかも今回は、見知らぬ人がつくった
村や家を見学することもできますので、
そこで新しい発見をしつつ、自分の村づくりに
活かしてもらえたら、うれしいです。
京極
わたしは、この『どうぶつの森』というゲームは、
毎日の暮らしを楽しむだけじゃなくて、
自分の村や世界を、自分の好きなように創りだす、
舞台でもあると思うんです。
岩田
そこにはいろんな仕掛けやアイテムやイベントが
たくさん用意されているんですよね。
京極
そうです。そこに今回は
「住宅展示場」や「夢見の館」のように、
お客さん同士が気軽に交流したり、発信して見せあえるような
新しい場所をたくさん用意しています。
だから「みなさんに遊んでいただいて、
できあがっていく村という作品を舞台にして、
交流して楽しんでいただけたら」というのが、
いちばんの思いです。
高橋
ちょっと言い忘れたことがあるんですけど・・・。
岩田
はい、どうぞ。
高橋
今回は3DSということで
グラフィックの性能が格段に向上していて、
たとえばどうぶつを見ると
毛並みがふわふわしていたりしますので、
そういったところにも注目してほしいです。
毛呂
博物館の化石なんかの展示も
かなり見ごたえのあるものになったと思いますね。
高橋
そうですね。
あれはぜひ、3Dで見ていただきたいです。
岩田
では最後に、わたしからもひとこと。
『どうぶつの森』は1年間、
ずっと遊んでほしいソフトです。
ですが、ほかのゲームも遊んでいただきたいんですよね。
そこで、おすすめなのがダウンロード版(※12)です。
1年を通じて遊ぶ、この『どうぶつの森』は、
ダウンロード版にぴったりだと思うんです。
・・・なんだかセールスマンみたいなコメントですけど(笑)。
毛呂
そうですね。このソフトが
3DSにささりっぱなしだと、
ほかのゲームが遊べないですから。
岩田
新しい『どうぶつの森』を、
たくさんの人たちに楽しんでいただきたいですね。
みなさん、お疲れさまでした。
一同
ありがとうございました。