4. 「ウケ競争」
岩田
今回ほどの規模になると、
岡本さんは全デザイナーさんの
仕事を把握するだけでも
大変だったんじゃないですか?
岡本
・・・そうですね。
でもみんなすごくやる気があって、
自分から動いてくれました。
「担当になったところは絶対に面白くしないと!」
と思ってくれたみたいです。
岩田
「ウケ競争」になりませんでしたか?
岡本
あ、確かになりました。
岩田
それが起こる構造はなぜなんでしょうね。
こんなに物量に追われるゲームなのに、
あえて言いますけど、「無駄に」エネルギーを出して、
みんながウケ狙いに動いていたような、
そんな気さえするんです(笑)。
だから、『トモコレ』になるんですけど。
坂本
誰かに面白がってもらう快感を、
みんなが知っているんでしょうね。
あと、競い合いやすいタイプの
遊びなんだとも思います。
岩田
途中でどんなものがつくられているかは、
みんなの目に見えていたんですか?
高橋
はい。誰でも見られるような環境でした。
岩田
それを見て、またそれぞれが勝手に
闘志を燃やす状態になるんですよね。
高橋
今回、
Miiがグループを組んで、
歌を歌えるんですが、
歌のジャンルが6つあったので、
それぞれ担当者を割り振ってつくったんですけど、
この部分のウケ競争は、とくに白熱していました。
岡本
そういうつもりではなかったのですが、
傍(はた)から見ると、あきらかに競っていました(笑)。
岩田
その競争が全体のレベルをどんどん
アップさせていく、というのが面白いですよね。
坂本
そうなんです。
告白(※8)やプロポーズ(※9)のイベントも、
よい意味で無駄なネタがたっぷりと仕込まれています。
高橋
今回、告白の途中で邪魔が入るのは、
新しいネタなんです。
Miiが好きな人に告白する途中で
「ちょっと待ったー!」って
誰かが割り込んでくることがあるんですが、
最初は割り込んでくる人はひとりの予定だったんですけど、
坂本さんから・・・。
坂本
もう一声!(笑)
高橋
・・・と言われまして、
面白かったのでふたり目を登場させました。
そしたら、割り込むシチュエーションが
どんどんエスカレートして・・・。
岩田
登場の仕方も競争になるんですか?
高橋
そうなんです。
あと、プロポーズのイベントも
今回、新たに追加して、
緊張が伝わるようなミニゲームを考えました。
岩田
それはどんなことをするんですか?
高橋
プロポーズされる側の人が
プロポーズする側の人のことを考えているときに、
プレイヤーが「今だ!」って教えてあげるんです。
ちょうどいいタイミングで教えてあげると、
プロポーズがどんどん進んでいくんですけど、
ぜんぜん違うタイミングの場合、
いろんな邪魔が入ります。
坂本
相手が違う話題をバッとかぶせてきて、
「あ・・・なんでもないよ」とか言って、
ちょっと気まずい雰囲気になったりするんです(笑)。
高橋
プロポーズのドキドキと、
気まずさを表現してみました。
失敗したときのパターンが無駄に多いので、
ぜひ、失敗していただきたいです(笑)。
間の悪いときに構内アナウンスが入ったり、
電車のガタンゴトンって音にかき消されたり・・・。
岩田
「うまくいくだけが人生じゃない」
ということですかね(笑)。
坂本
そういった面白いシーンや珍しいシーンを
撮影してみんなに見せるのがかなり楽しいんです。
今回はスクリーンショットが
撮れるようになりましたので、
大いに使ってほしいです。
岩田
そのことに関連することなんですが、
じつは『どうぶつの森』(※10)の発売後、
『いつの間に交換日記』(※11)の利用者が急増していて、
どうやら『どうぶつの森』で撮った写真を
友達との共有に使われているようなんです。
『トモコレ』も「面白い写真を共有したい」
という点で共通するので、ぜひみなさんに
うまく使ってもらいたいと思いますね。
坂本
あれは便利ですよね。
岩田
『トモコレ』とスクリーンショットの相性は
いいでしょうから、すごく魅力的に感じます。
坂本
前作はそういう機能がなかったですからね。
実際にプレイしてみると
予想以上に写真を撮りまくってしまうんですよ。
私生活でも、昔は子供の写真を
撮りまくっていたんですが、それがまさに、
いま、『トモコレ』で起きている状態です(笑)。
岩田
なるほど。もう一度
子供を育てているみたいになるんですね。
坂本
はい。すると
「カメラをズームにできないの?」とか、
「この表示が邪魔だから消したい!」とか、
自分の中の写真に対する欲が出てきてしまって、
カメラ機能をどんどん強化してもらいました。
そのうち、メモリーがいっぱいで
書き込めなくなってしまうくらいに(笑)。
高橋
3000枚も撮れるんですけど(笑)。
坂本
それくらいは余裕で撮ります。
コミュニケーションのためにも、
すごく使える機能です。
岩田
・・・と、無茶を言う人がいて、
心配する役の高橋さんはどうしたんでしょうか?
高橋
わたしも普段、子供の写真を
撮りまくるタイプなので、
カメラについては大賛成でした。
で・・・中江さんにすべてを託しました(笑)。
岩田
「どうにかする人」に頼んだわけですね。
中江
そうですね(笑)。
ただ、開発を進めていくうえでも、
スクリーンショットが撮れるのは
何かと便利ですので、この機能自体は
けっこう早い段階で入れていたんです。
あとは、坂本さんが写真を撮りやすくなるように、
その都度、修正や変更をしていきました。
岩田
結果として、子供の写真を撮りまくる
坂本さんのような人でも、
「十分満足できるようなものになった」
ということですね(笑)。