岩田
では最後に、ぜひアピールしておきたいところを
それぞれの立場から訊こうと思います。
今度は任天堂側から、山上さんお願いします。
山上
はい。今日の話題には出ませんでしたが、
じつはムービーも大変苦労してつくりました。
今回の『エムブレム』の壮大なイメージに
合うようなムービーをつくるために、
まるで「大河ドラマのオープニングのような壮大なものを」
というコンセプトで制作しました。
3Dムービーとしても十分に魅力的に感じてもらえるうえに、
今作の世界観を存分に感じてもらえるんじゃないかと思います。
岩田
この間のニンテンドーダイレクト(※13)で、
その一部を公開しましたよね。
山上
はい。ムービーで物語のイメージをとらえていただきつつ、
今作の最大の魅力である、
みなさんのプレイに応えてゲームが育っていく部分を
十分に楽しんでもらえればと思います。
岩田
はい、横田さん。
横田
はい。システムの話ばかりしましたが、
ストーリーもいろいろ考えています。
今回はやや趣向を変えてみて、
いままでの『エムブレム』にはなかった要素も入れています。
国家関係の王道ストーリーの中に、
新たな『エムブレム』を感じてもらえればと思います。
岩田
コザキさん、お願いします。
コザキ
ビジュアルに関しては、
一度見ていただくのが早いですけど、
いままででいちばん、表情が豊かになっていると思います。
各キャラクターに喜怒哀楽をそれぞれ用意しているので、
会話シーンも、より感情移入しやすくなっているはずです。
岩田
では、草木原さん。
草木原
いままでの話にあるように、
全体がなぜか奇跡的に同じ方向を向いていて、
全員が全力疾走したものになっていますので、
手にとっていただいた方には、
熱気を感じ取っていただけるんじゃないかと思います。
たとえば、戦闘シーンひとつとっても、
キャラクターの動きが、設計段階の想定よりも
はるかによく動いているように思える場面が多いんです。
まるで本当にキャラクターが命を吹きこまれたように感じられる、
見応えのあるものになっていると思います。
ぜひ戦闘アニメはオフにしないで見ていただきたいです。
岩田
よく動くようになったのは、なぜだと思いますか?
草木原
うーん・・・不思議なんですよねぇ。
横田
やっぱり“愛”じゃないですか?
草木原
愛ですかねぇ(笑)。
自分で見てもびっくりすることがあります。
岩田
自分が設計した部分を見て自分で驚けるというのは、
エネルギーが入っているときですよね。
はい、前田さん。
前田
“いつの間に通信(※14)”についてですが、
毎日接続して新しい喜びを感じてもらいたかったので、
“
いつの間に配信チーム”という形で、
過去作をイメージしたキャラクターのチームが、
だいたい1日1チームやってきて
仲間になったり、戦ったり、
アイテムを買ったりできるんですが、
全部で120チームぐらいあります(笑)。
だから発売後、ちょっとずつでも
長く楽しんでいただければと思っています。
岩田
今回はまるでブレーキが壊れているほど、
ものすごく勢いがありますね(笑)。
コザキ
まるで
パッケージの絵、そのままです。
みんな同じ方向に突進しているような感じがします。
岩田
ああ、確かに。
パッケージの絵と開発チームの感じがシンクロしますね。
では、樋口さん。
樋口
今回、いろんなものが3Dで表現されていますが、
通常視点、真横から見た視点にプラスして、
今回は“
一人称視点”を追加しています。
お互いの目線に立って戦うものなんですが、
3Dの面白さも見ていただければと思います。
また今回、生のバイオリン演奏を入れるなど
いままで以上にサウンドにも力を入れています。
新たな挑戦をいろいろしていますので
いい環境で聴いていただけたらと思います。
岩田
では、成広さん。
今日、聞いていてどう思いましたか?
成広
・・・想像以上に熱かったですね。
一同
(笑)
成広
端から見ているとかなり心配だったんですが、
コアな現場がこれだけ盛り上がれたということが、
できあがったものにしっかり反映されていると思います。
言いきれないほど要素がたくさんあって、
密度の濃いものができあがったと思います。
“世代を引き継ぐ”というテーマも
久々に入れられましたしね。
岩田
それも集大成のひとつですよね。
成広
はい。それに前作に引き続き、
自身が参加する“マイユニット”もつくれます。
最初は男の子で遊んでいたんですが、
2回目を女の子にして遊んだら、
途中から「これ、絶対結婚させたらあかん・・・!」
って思いはじめて(笑)。
一同
(爆笑)
岩田
それは・・・娘さんへの愛情みたいな感じでしょうか?(笑)
成広
そう。なんかねぇ・・・マイユニットというよりは
娘のような感じで接してしまって。
コザキ
変な虫がつかないように?(笑)
成広
そう(笑)。
「ちゃんとしたヤツじゃないと嫁にはやらん」ってね。
一同
(爆笑)
成広
こんなふうに集大成的なエッセンスを組み合わせたら
新しい感情が生まれて、すごく新鮮だったんです。
これだけ長く遊んでもまだまだ発見があるし、
ストーリー面でも本当にいろいろ網羅されていて、
すごく新鮮な感じで遊べました。
岩田
やっぱり「集大成以上の“超集大成”ができた」
という感じがするんですね。
成広
そうですね、期待以上というか。
心配していたことを乗り越えてくれたのかもしれません。
岩田
成広さん、ちょっと、嫉妬しちゃうくらいですか?
成広
ははは、悔しいですけどね(笑)。
でもちょっと違う立場で見られたこともよかったと思います。
「まだまだ生み出せるものがあるな」と気づいたので、
これが違うものにつながればいいな、と思いました。
山上
僕もね、横田さんの横でずっと
「ジェラシーだ」って言っています。
横田さんが入ってくれなかったらこうはならなかったので、
うれしいんだけど、ジェラシーなんです(笑)。
成広
いい意味で世代交代というか、
少しずつバトンを渡していけたんじゃないですかね。
それに、草木原やコザキさんとか、
いままでと違うフレッシュな視点に入ってもらえたことが
すごくよかったと思います。
いい勉強をさせてもらいました。
岩田
はい、ありがとうございます。
今回の『エムブレム』は集大成をテーマにしている、
ということは知っていたんですが、
今日改めてお話を訊いてみたら・・・
この熱は、なんだ!
一同
(笑)
岩田
普通ではありえない密度でものができていき、
そこに手ごたえを感じて喜ぶ人たちの姿がありました。
もともとは集大成として、
いいとこ取りから生まれたものが、
みなさんの“熱”によって
想像以上のものに化けていった感じがします。
新たに加わったみなさんも、
その“熱”に巻き込まれるように力が出て、
まるでホームグラウンドで戦っている感じに
なってもらえたんじゃないかなと思います。
発売に向けて楽しみがひとつ増えました。
今日はどうもありがとうございました。
一同
ありがとうございました!