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この世の始まりのその時から、「神々」と「巨神族」はお互いに憎みあっていました。神と巨神の大戦争。激しい戦いが続き……神々はついに、海の彼方の「ヨトゥンヘイム」へと巨神族を追放しました。巨神族がいなくなった大地に、やがて人間が生まれます。神々の庇護のもとで人は増え続け、大地は「ミズガルド(人の大地)」と呼ばれるようになりました。神々は「アスガルド(神の街)」を築き、繁栄の時を迎えます。土の妖精ドヴェルクは、スヴァルトヘイム(地下の世界)で幸せに暮らしました。神々が世界に秩序をもたらしたのです。永遠にも思える平穏な時間が流れます。ですが、どれほどたくさんの幸福が世界に満ちようとも……神々の心の中には、いつも不安とおそれがあったのです。平和に見える世界には、常に暗い影が投げかけられていました。大海に隔てられたヨトゥンヘイムでは、巨神族もまた繁栄を遂げていたのです。巨神の数は増え続けていました。数千年の月日を経て、その数は百万をこえようとしています。巨神の国は広がり続け、今や世界の大半がヨトゥンヘイムといってよいほどです。運命の車輪は、その回転を止めることはないでしょう。積もりすぎた雪が、やがて崩れて雪崩となるように、巨神族はいつか再び攻めてくるに違いありません。神々への復讐を果たし、生きとし生けるものを根絶やしにするために。それこそが、神々が恐れる世界の終末。 「ラグナロク」