私たちが個性を認め合いながら思いやりをもっていっしょに生きるためには「常識」という共通の認識が必要です。そして、「常識」をもって周囲の人や自然と円滑な関係を保ち、心豊かに生きていく力を「常識力」と呼んでいます。

 『みんなの常識力テレビ』では、常識力を身につけることを目的として、私たちが遭遇する可能性のある状況を想定し、それに関連する問題を出題しています。

 実際には、私たちが出会う人や場面は無数にあります。ここでは、問題として、なるべく一般的な事例を扱うよう心がけましたが、常識の中には変化するものもあり、地域や国によって異なるものもあります。また、あらゆる状況において、最も丁寧で格式の高い方法が最適というわけではなく、そして、何事もマニュアルどおりというわけにはいかないように、その時々で、相手の気持ちを察して対応することが必要です。

 周囲と調和し、いっしょに生きることを考えるとき、相手に対しては尊重する気持ち、自分については慎む気持ちを欠くことはできません。とはいえ、遠慮するばかりでなく、自分の考えを誠実に表現することや、相手の気持ちやもてなしの心を感謝して受けとめることも大切です。常識力を身につけるうえでは、過多であったり、過少であったりすることなく、常にバランスのよさを心がける必要があります。

 問題の内包する知恵や合理性、的確な判断のもととなる知識、配慮の気持ちに触れることで、自ら気づき、よりよく変わるきっかけとなることを願います。また、問題のあちこちに見え隠れするユーモアや遊びの要素は、気持ちのゆとりにつながり、緊張を和らげてメリハリをつけ、和やかなコミュニケーションをとるために大役を果たします。様々な問題の本質や意味を理解したうえで、最終的に、この中から何を取り入れ、どのように表現していくかという判断は、皆様それぞれに委ねたいと思います。

 未来に羽ばたく子どもたちにとっては、家庭は社会の準備室です。年齢や個性の違いを超え、家族の知恵を結集し、いっしょに常識力を鍛えながら、家族の絆を深めていただければ幸いです。常識力を身につけることが、社会の中で信頼を得ることや心の活性化、創造力につながることを願い、『みんなの常識力テレビ』をお届けいたします。

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