ありえない使われ方も検証

試作品を作って何度もテスト

Nintendo Switchの大きな特徴のひとつは、本体の両側に付いたJoy-Conを取り外してゲームプレイができるところにあります。しかもそのJoy-Conは、コンパクトな中にとても多くの機能が詰め込まれています。私は、この機能を実現するために必要な電気回路の設計を担当しました。

センサーの集合体であるJoy-Conの開発ですが、最初に作りたいコントローラーをWiiリモコンやWii U GamePadを改造して試作し、実際に操作して試してみることからはじめました。開発が進むにつれて、amiiboのデータを読み取るNFCやモーションIRカメラ、それにHD振動など、さまざまな機能をもった部品が詰め込まれることになるのですが、その都度実際に試作品を作ってテストし、修正や改良を行いました。

例えば、ほんの一瞬であっても大きな電流を流してしまうとバッテリーに負担がかかり、電圧の低下を引き起こし、さまざまな不具合を引き起こす原因になることがあります。複数の電子デバイスが同時に動作したときや、ひとつの電子デバイスが想定以上の電力を消費したときにも発生する場合があるため、各電子デバイスの消費電力がどれくらいかを常に検証していました。実際には同時に使えないだろうと考えている部品の組み合わせであっても、アプリケーションの企画担当者から「使えないか?」と問い合わせが来ますので、その際にはデータを見ながら相談できるようにしていました。

お客様には見えない部分を作る

Joy-Conのなかに入っているさまざまな部品

私は入社直後にNewニンテンドー3DSの開発に関わったのですが、そのときは先輩の下について指示どおりに仕事をしていただけでした。ところが、今回のJoy-Conの開発では、初期検討から量産に到るまでの主担当者という大役を任されましたので、大きなやりがいと責任を感じながらの仕事になりました。

Joy-Conの量産に入る前は、試作品を各部署に配って検証してもらうと、それまでは見つからなかった不具合が生じることもありました。ですから、発売日に向けての量産が本格的にはじまったときは製造上のトラブルが発生しないかと本当に不安でした。発売日を迎えてNintendo Switchを手に入れたお客様の喜びの声が届くようになると、ようやくがんばって作ってよかったと思えるようになりました。

任天堂に入社してよかったと思えるのは、世界中からたくさんの反響をいただけることです。お客様の声というのは見た目であったり、Joy-Conを握ったときの感触であったりと、外側に対する感想がほとんどなんですね。私が関わったのはお客様には見えない部分ですが、それでもNintendo Switchの開発に関われたことを誇りに感じています。

社員略歴

池田技術開発部/2012年 入社
2012年「理工系(ハードウェア)」入社。Newニンテンドー3DSの開発では、NFCやシステムLSIなどの評価を担当。その後、Nintendo Switchのコントローラー「Joy-Con」の電気・電子設計に携わる。
職種

↑