私はもともと、東京のゲーム会社でスマートデバイス向けのアプリなどの開発に携わっていたのですが、子どもの頃から任天堂のゲームが好きだったということもあり、キャリア採用に応募して、任天堂に中途入社することになりました。配属されたのは、スマートデバイス事業部です。つまり即戦力として、自分の経験が求められたんですね。
そして、入社後に担当することになったのが、スマートデバイス向けアプリの『ファイアーエムブレム ヒーローズ』です。私が入社したときには、ゲームの開発は進んでおり、すでに遊べる状態になっていたのですが、私の経験からすると、サービス開始後の運営が大丈夫かどうか、少し不安に感じる部分がありました。
そもそもスマートデバイス向けのアプリとは、出したらそれで終わり、というわけではなく、お客様にずっと遊び続けていただけるように、常に新しい刺激を提供し続けることが大切になります。例えば電車に乗ったときに、ちょっとした空き時間に気軽に遊べるようにするだけでなく、そのタイミングを逃さずに、新しい刺激をお届けできるかどうかが、運営にとっては重要になります。その意味で、『ヒーローズ』の運営のやり方については、見直す必要があるように感じたのです。
ただ、『ヒーローズ』の配信予定日は決まっていましたので、イベントやアイテムなどを新たに作る余裕はありませんでした。そこで私は、いまある仕組みでできることを考えることにしたのです。例えば、既存の仕組みで追加できるログインボーナスやミッションを複数用意したり、あるイベントは月に1度だけ起こる予定だったものを、月2回に変更したりしました。また、マップが配信される頻度を上げるために、すでに準備されているネタを再構成して、お客様に提供できるようにしました。そうすることで、数日ごとに、新しい刺激が生まれる状態をめざしたんですね。
私が初めて『ファイアーエムブレム』をプレイしたのは高校生のときです。それ以来、すべてのシリーズを遊んだくらいの大ファンでしたから、今回の『ヒーローズ』の仕事に関わることができて、すごくうれしかったですね。『ヒーローズ』のマップは、通常のシリーズに比べるととてもコンパクトなサイズになっています。ですから、ファンの立場で考えると、もっと広くしてほしいと思うのが当然なのですが、実際に触ってみると、すごく楽しめたんです。そして何より、今作の使命のひとつは『ファイアーエムブレム』のファンを拡げることでもありましたので、初心者の方がスマートデバイスで遊ぶのに、ちょうどいいサイズだと感じたのです。
このように、『ファイアーエムブレム』シリーズが大好きだからこそ、今までとは違うスマートデバイス版の『ヒーローズ』を通じて、より多くのお客様にその世界観やキャラクターの魅力を届けられるということに、とてもやりがいを感じています。