Nintendo Switchを買ってきてからネットワークに接続し、対戦ゲームを楽しんだり、ダウンロードソフトを購入しようとしたりすると、「ニンテンドーアカウント」を作成してくださいというメッセージが表示されることがあります。ニンテンドーアカウントとは、Nintendo Switchやスマートフォンなどで、任天堂が提供するネットワークサービスにログインするために必要なアカウントのことなのですが、13歳未満のお子様は、自分だけでニンテンドーアカウントを作成できないような仕組みになっています。
というのも、アメリカでは、13歳未満の子どもから生年月日など個人情報を受け取るときは、保護者の方の同意を必ずとらなければならない、という法律があるんですね。日本では、そこまで厳格な法律はないのですが、ワールドワイドでビジネスを展開する任天堂にとっては、厳しい基準に合わせるのは当然のことなのです。
とはいえ、13歳未満のお子様にも遊んでいただきたいゲームはたくさんあります。例えば、『スプラトゥーン2』のネットワークを使ったバトルもそうですし、『スーパーマリオ ラン』や『どうぶつの森 ポケットキャンプ』などのスマートフォンアプリもそうです。そこで、それらのゲームを13歳未満のお子様にも楽しんでいただけるようにするために、私は「子どもアカウント」のプロジェクトに参加することになったのです。
「子どもアカウント」の仕組みを簡単に説明しますと、まず保護者の方にニンテンドーアカウントを作っていただき、それに紐づけるようなかたちで、お子様用のアカウントを作っていただくようになっています。そうすることで、お子様がニンテンドーeショップで買い物をしたり、スマートフォンを使って任天堂のサービスを利用したときは、お知らせのメールが、保護者の方に届くことになっています。保護者の方にも安心してご利用いただきたいからこそ、そのような仕組みにしたのです。
ただし、そのような仕組みを作っても、保護者の方にちゃんとご理解いただけるのか、しかも負担に感じることなく、アカウント作成の作業をスムーズにやっていただけるのか、ということが課題になりました。そこで、たくさんのモニターをとることにしたのです。例えば、社内で働くお母さん世代の方々に、試作した画面を実際に操作してもらい、その姿を肩越しにビデオ撮影して、問題点を洗い出すようなことも行いました。その結果、どのような説明をし、どのような手順にすればご利用しやすいサービスになるのかが、はっきり見えるようになったのです。
法律も含めて、世の中の価値観や基準はこれからも変化していきます。そのなかで、任天堂のネットワークサービスを小さなお子様にも安心して遊んでいただける、ということは変わらないように、これからもニンテンドーアカウントの改善を積み重ねていきたいと思っています。