先入観を排して、まずはやってみる先入観を排して、まずはやってみる

ログのすべてを保存し、分析するために

私は入社後に、任天堂プラットフォーム向け汎用ゲームサーバーを担当するチームに配属され、サイトリライアビリティエンジニア(SRE)として仕事をすることになりました。SREとは、既存のシステムをより良いものにするために、挙動を随時見直し、最新技術への置き換えや、作業の自動化などをすることで、コストやリスクを下げることに特化したエンジニアです。

汎用ゲームサーバーは、ネットワークを使ったさまざまなゲームで利用されているため、世界中のお客様や開発者からアクセスされています。そしてアクセスの状況を知るためには、誰がいつ、どのようなアクセスを行ったのか、ログに記録する必要があるのですが、汎用ゲームサーバーへのアクセス量はあまりにも膨大で、通常のログ保存サービスを使って残すことはコストも膨大になるため、単純に保存することは困難な状況でした。ただ一方で、不正なアクセスがあったときに分析できるよう、ログを保存して備えることは必要であり、どう解決するかが課題となっていました。

どのようにログを保存すればよいかについて頭を悩ませていたところ、当時の上司からひとつの解決策が提案されました。それは、当社の規模では高コストになってしまうログ保存サービスを使うのではなく、より安価なストレージサービスを活用し、さらにログは圧縮して保存し、分析時には展開して利用することで、コストを大きく下げる、というアイデアでした。その話を聞いた私は、前例を聞いたこともない方法だったこともあり、「圧縮処理でサーバーに大きな負荷がかかってしまうため、無理ではないか」と思ったことを覚えています。

明日の時間を作るために今日の時間を使う

当時、私はまだ入社から半年ほどの時期で、任天堂で扱う規模のサーバーについてのノウハウはありませんでした。一方で、提案をしてくれた上司は経験と知識が豊富で、自分には見えていないことが上司には見えている、だからなんとかなるかもしれないという思いもありました。そこで「無理だ」という先入観を排して、まずは実現に向けて進めてみることにしました。自分に足りない知識は、類似のコードを見比べてさまざまなドキュメントを調べたり、社内の先輩方やクラウドサービス会社の人にも聞きながら吸収していき、地道に一歩一歩実装を進めていった結果……当初無理だと思っていたものができあがったのです。

条件に合うログの検索、時間ごとのログ量の監視などができる

そのときの私は、先入観で決めつけるのは良くないということを、まさに痛感しました。このことは今でも、先入観で判断せずに手を動かしてみる、という教訓として心に刻んでいます。思い返してみると、私自身のSREという仕事についての認識もそうでした。私は学生のときに、任天堂のエンジニアの仕事といえばゲームの開発しかない、という先入観を持っていました。ところが実際には、自分が得意としているネットワークに関する仕事もあると知り、そして入社後にはSREという既存のシステムを改善したり自動化することに特化した仕事に巡り合うことができました。これも、先入観を排することで、可能性が広がった一例だと思います。

SREの仕事では、今日の苦労が明日からの長期間に渡る効率化に直結します。たとえば、毎日10分かけて取り組まなければならない仕事があるとして、自分が数時間を投じることで自動化できれば、1か月もするころには効率化できる時間の方が大きくなります。明日のみんなの時間を作るために今日苦労をすることで、チームやお客様の役に立てるようにすることが、SREという仕事の大きな醍醐味です。

社員略歴

榎波技術開発部/2021年入社
2021年「理工系(ネットワーク)」入社。
入社後、任天堂プラットフォーム向け汎用ゲームサーバーに関わり、一貫してフレームワークやサイトリライアビリティエンジニアの業務に携わる。
職種

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