社長が訊く
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カルチョビットの最終決戦篇を社長が急遽メールで訊く

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社長が訊く『ポケットサッカーリーグ カルチョビット』

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はじめに

岩田

こんにちは。任天堂の岩田です。

『ポケットサッカーリーグ カルチョビット』の発売を前に、先日、
「ポケットサッカーリーグ カルチョビット Direct 2012.6.29」という形で、
エキシビションマッチの「最終決戦」を放映しました。

わたしもその様子を観戦していたのですが、
ご参加いただいた博多華丸・大吉さん、
久保裕也選手、杉本大地選手、
そして西野朗監督と、
それぞれの特徴あるチームに育成されていて、
「ここまで個性が出せるものなのか!」、そして、
「育成されたチーム同士の試合を見ているだけで、
こんなに楽しめるものなのか!」と思いました。

こうやって、このゲームの奥深さを見せつけられ、
西野さんのマジのガッツポーズが印象深かった
とても白熱した決勝戦を見ながら、
「いちばん盛り上がるのは、ゴールポストを叩いたとき。」
という社長が訊くでの、薗部さんの言葉を思い出して、
あらためて薗部さんにいろいろなことが訊きたくなりました。

しかし、発売までに薗部さんとは直接お会いして
お話をお訊きすることは、スケジュールの都合上
どうしてもできないことがわかりました。
ただ、今回は、どうしても諦めきれなかったので、
電子メールで薗部さんにいくつかのことを
お尋ねしてみることにしました。
幸い、ご回答をいただくことができましたので、
その内容をみなさんにお届けいたします。

メールインタビューという形式である以上、
いつものような「かけあい」はできませんでしたが、
この「カルチョビットの最終決戦篇を社長が急遽メールで訊く」
略して「チョビット社長が訊く」が、
カルチョビットの奥深さを、少しでもお伝えできることを期待しています。

岩田

エキシビションマッチをご覧いただいた感想はどうでしたか?
わたしには、先日の「社長が訊く」で薗部さんがおっしゃっていた、
「それはたぶん、たくさんの要素のなかから
 どのエッセンスを残すか、という取捨選択が、
 うまくいっているということなんでしょう。」
という言葉が、ものすごく説得力を持って実感できたんですけど。

薗部

忙しい方ばかりなのに、
みなさんちゃんとチームを育てていただいて感激しました。
西野監督や久保選手などサッカーのプロの方々に遊んでいただくのは、
どう評価されるのかちょっと緊張しましたが、
思ってた以上にみなさん真剣にやられていたので、恐縮です。
実際のサッカー中継を見てるように、楽しく観させていただきました。
「人によってまったく違うチームが育っていく」という
大事につくってきた部分がうまく出ていたようで、良かったです。

岩田

各チームの印象はどうでしたか?
芸人さん、プロサッカー選手、監督のチームにはそれぞれ
どんなところに個性(魅力)があると感じられましたか?

薗部

千鳥さんのチーム:
まだステップリーグでの対戦でしたが、
攻撃の意識が高いチームになっているなと思いました。
中盤のカットもうまく動いていましたが、
相手との相性が悪くて攻めあぐねちゃいましたね。
ディフェンスがもう少し連携があがってくると良かったなと。

あと、「はる」選手のPKが決まっていれば
試合展開がまったく違っていたかもしれませんが、
PK以外にもフリーキックやコーナーキックのキッカーが指名できます。
サッカーではセットプレーでの得点が多いので、これらも大切になってきますね。
千鳥さんがプレイ中にもおっしゃっていましたが、
「ここで経験を積ませよう」とか、
「PKにはきっとメンタルが必要だ」とか、
「いやいや、PKにはきっとテクニックが必要だ」とか、
みなさんにもいろいろ悩みながらやってもらいたいですね。

博多華丸・大吉さんのチーム:
まさに「バリカタ」なチーム。
当初のコンセプト通りのチームを早い段階から実現できていて、
すごいなと思いました。
実戦経験を積むことで、各選手はチームの戦術を理解し、
連携の取れたプレイをするようになっていくのですが、
どう育成されたのか、とても気になりましたね。
現実のサッカーもそうですが、
ああいうチームとはやりにくいですよね。

久保選手・杉本選手のチーム:
キープレイヤーを魅力的にしっかり育てていたものの、
中盤が弱めだったのか、トップまでボールがまわり切らず、
チャンスが少なめになってしまったのが残念でしたね。
「だいち」選手は素晴らしい活躍を見せていましたが、
せっかくの「くぼ」選手の活躍が見られず残念でした。
今後、中盤とディフェンスの選手たちの連携がもうちょっと深まってくると、
怖いチームになってくるのではないかと思います。
久保選手のお話にもありましたが、
ディフェンスラインの設定を少し変えるだけで、
攻守のバランスが良くなることもあります。

西野監督のチーム:
西野監督ご自身でもおっしゃられていましたが、
ワントップの「フミクラ」選手を中心にシャドーストライカーを置く、
という方針と戦術がみごとにはまっていましたね。
攻守ともに、各選手のポジション意識が高いように見えて、
中央突破あり、サイドからありと、攻撃もバラエティに富んでいました。
短時間であれだけ育て上げるのは大変難しいと思いますが、
監督の意向がきちんと浸透した素晴らしいチームですね。

岩田

試合を見ていると、たとえ同じような実力のチームであっても
まったく違う戦い方をしていたように見えました。
そのような違いは、どこから生まれてくるのでしょうか?

薗部

そうですね、カルチョビットは
「単に個々の能力が高いだけでは勝敗がわからない」
という風につくっています。
エキシビションマッチでも、
育てた年数が短いチームが勝利していましたし、
実際プレイしてみると「なんでこのチームに勝てないんだろう?」
というのが出てくると思います。
自分のチーム状況だけでなく、
相手チームのフォーメーションや戦術などの関係も重要になってきます。
どの選手にどういった特訓を行っていくのかという方針によっても
チームの動きは大きく違っていきますので、
パラメータだけを見て特訓をしていると個性はでにくいかもしれません。
普段の公式戦のみならず、練習試合なども含めて、
チーム戦術をどう伝えていくのか、連携をどう深めていくのかが
大事な要素になります。
育っていくと今度は世代交代をどうしていくのか、
というのも課題となってきます。
あたらしく加入した選手は、戦術を理解するまで時間がかかるのですが、
そこをどう活かすかなどもポイントになってくると思います。

岩田

ゲーム経験こそ、お持ちでないものの
本職の名将西野さんが、
ゲームの内部の仕組みをご存じないのに、
強いチームに育てて見せてくれました。
わたしは、「カルチョビットがサッカーの要素を
うまくゲームのなかに凝縮できている証明だ」と感動しましたが、
薗部さんは、どう感じられましたか?

薗部

いや、本当にさすがですね。
実際のプロの監督が、
ゲームとはいえ真剣にチームを語ってくれて、大変感激しました。
ゲームとしてそういったことが
多少なりとも反映できていたとしたらなによりです。
「いつの間に通信」で、西野さんのチームを配信(※)してくださるそうなので、
僕自身も対戦を楽しみにしています。

また、能力では勝っているはずなのに、
なぜか苦戦させられる相手が出てくると思いますので
そんなときは、ゲーム中の機能のひとつにある「VTR」に録画して
敗因を探ってみるのも有効だと思います。

「いつの間に通信」で、西野さんのチームを配信=西野監督の「さいたまFC」チームデータを、2012年7月12日(木)~2012年7月16日(月)までの5日間、いつの間に通信で配信します。

岩田

博多華丸・大吉さんのチームのように
固い守りをしながらカウンターで攻めるようにするには
どのような育成をしていけば良いでしょうか?

薗部

どのような育成をすればいいかは、一概には言えませんが、
ディフェンダーをしっかり育てつつ連携をはかり、
ミッドフィルダーに攻・守それぞれの意識の高い選手を置いて、
システム(フォーメーション)を組み立てる、といった感じでしょうか。
大吉さんは、ゾーンの設定も低めコンパクトにして
ボールがよくつながるように育てていたのでは。
フォワードの選手は、カウンターに備えてゴール前に待機するよう
高めの位置取りをさせていた、とかでしょうか。

岩田

久保選手、杉本選手のチームは、
意識的にスター選手を集中して育てられていたようです。
結果はうまくいかなかったようですが、
薗部さんは、どう感じられましたか?

薗部

スター選手をメインに育てる方針もありだと思います。
スター選手に機軸を置いたからうまくいかない、
というようなことはないです。
ラインやゾーンの設定、あとはお二人も言っておられたように、
システムなどの戦術が選手の個々の能力とうまくはまっていれば、
もっと善戦できたのではないかと思います。

岩田

サッカーにあまり詳しくないみなさんも、
先日の最終決戦はとても楽しんでくださったようなのですが、
一方で、そういうみなさんは、
どんなフォーメーションにしたり、
どんな課題をつかってどんな特訓をどの選手にさせるかなど、
最初は、どうしていいか全然わからないと思います。
そんな場合には、チームづくりは
どうやって進めるのがおすすめですか?

薗部

つくっているわたしが言うのもおかしな話かもしれませんが、
このゲームには「正しい育成方法」というものがないので、
アドバイスと言われると困るのですが・・・(笑)。

まず課題は試合内容に応じて見つかるので、たくさん試合をして、
「それぞれのポジションに合いそうかな?」といった課題を
試してみてください。

はじめての方は、たとえば、
フォワードには「キック」、
ミッドフィルダーには「テクニック」、
ディフェンダーには「フィジカル」、
ゴールキーパーは「ジャンプ」、
といったように、
「このポジションには、この能力が必要かな・・・?」
などと考えながら特訓してみるのはどうでしょう。

このあたりは、
ゲーム内に用意した「監督メモ」なども参考にしてみてください。

フォーメーションは、
練習試合などでどれが自分のチームでうまく機能するのか、
と試行錯誤してみるのがいいと思います。
負けることによって自分のチームの課題がはっきりするので、
最初はどんどん負けてください。
フォーメーションも常識にとらわれることなく、
極端に変えてみるのも面白いかも。
とにかくいろいろ試していただければと思います。

岩田

薗部さんの好きなチームの育て方や
育成方針を教えてもらえませんか?

薗部

僕自身は、鹿島アントラーズを応援しているのですが(笑)、
そういうことではなくてですよね。
「点を取られないチーム」をまず目指して、
ディフェンダーの意識と連携に重点を置くところから
チームづくりをしていきます。
突出した選手をつくるより、
割と平均して選手を育てていくほうですかね。

岩田

最後に、体験版を楽しまれているみなさんに
ひとことお願いします。

薗部

今回、製品版に引き継げる体験版をつくりました。
体験版をどういった内容にするかについては随分悩んだのですが、
ゲームデータを引き継ぐことができるようになったということで、
たっぷり遊んでいただけるものにすることにしました。
「自分のチームが目に見えて強くなっていく」ということを
みなさんに体験していただき、
チーム愛をじっくり育てていただきたいなと思っています。
フレッシュリーグ以降、予算もどんどん増えていきますし、
世代交代や過密スケジュール、カップ戦など
育成で悩む部分もいろいろ出てくると思います。
愛着が出てきたチームを製品版に引き継いで、
クラブと苦楽を共にしながら、楽しんでいただけるとうれしいです。